ラーメンや丼ものは多くの日本人が好むメニューだ。ただ、これらの食事から摂取する糖質量はかなりのものになってしまうため、「炭水化物=ダイエットの敵」と考えている人も少なくない。「糖質制限ダイエット」なる言葉がそのことを端的に表していると言えるだろう。
しかし、どうやら極端な炭水化物断ちは実はダイエットには不向きかもしれないことが最新の研究で示唆された。海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「炭水化物と体重の関係性」にまつわるコラムが掲載されたので、本稿でその内容を紹介する。
体重を落とそうとすれば、ご飯やパン、じゃがいも、パスタなどの炭水化物を避けるべきだと言われてきた。だが、オーストラリアの栄養士のスージー・バレル氏は、炭水化物はダイエットに必要で避けるべきではないと説明する。炭水化物を含む食事は脂肪を燃焼させるのに役立つそうで、十分な炭水化物を摂取しないと代謝率が悪くなるため、体重が落ちにくくなるという。
「炭水化物の摂取を少なくしているのに体重が減らないのは、明らかに炭水化物の総摂取量が少なすぎるということを示しています。特に規則的に運動をしている場合にはそうですね」
栄養の専門家は、激しい運動をするおよそ1時間前に20~30gの炭水化物を摂取するよう推奨している。「一般的な経験則として、規則的に運動をしている人にとって、炭水化物摂取量が毎日80~100g未満だと少なすぎるので、体重を落とせないのです」とバレル氏は語る。
脂肪過多の人は、低炭水化物ダイエットによって持続的に脂肪を減らせるが、だからといって炭水化物の摂取を完全に止めるべきではないとバレル氏は主張。中にはダイエットに適した炭水化物もあるため、適切な食物から適度な炭水化物を摂取するのがよいとのこと。
特に米やシリアル、果物などに含まれる炭水化物は細かく砕けてブドウ糖を発生させ、血流に入っていく。そして、筋肉と脳の主要なエネルギー源として使われるので、身体を動かすのに必要な"燃料"にあたる。この"燃料"が不足していると常に甘い物を欲するようになり、過食につながってしまう。ダイエットのための炭水化物断ちのせいで体重が増加してしまっては元も子もない。
一日のうちで最も活動的なタイミングの足しになるよう、うまく炭水化物を摂取するように心がけてみよう。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。