都心のど真ん中にも、やはりベッドタウンは存在する。渋谷や目黒に程近い武蔵小山(品川区)はそのひとつだ。まるで郊外までやって来たかのように閑静な雰囲気が漂う武蔵小山駅周辺だが、わざわざ訪れてみたいほどの食べ歩きグルメや遊びどころはあるのだろうか。実際に歩き回って確かめてみた。
武蔵小山は商店街が豊富!
武蔵小山駅は、JR山手線目黒駅から東急目黒線で約3分の距離にあり、"超"が付くほどアクセスのいい場所だ。このあたりは現在再開発中で、駅前も相当に新しい。そのためか、取材時は真夏の日差しだったにも関わらず、スッキリと涼しげな印象を受けた。
武蔵小山は戦前からの住宅地なだけあって、多数の商店街が連なっている。最も有名なのは、駅東口から800mもの長さで伸びるアーケード型商店街「Palm-パルム商店街」で、それに交差して「武蔵小山一番通り商店街」があり、その他にも「親友会商店街」や、西口には「目黒平和通り商店街」などがある。余談だが、パルム商店街を越えて更に進むと、かの有名な「戸越銀座商店街」へと続く。
それぞれ奥の方に面白いお店があったりするため、「歩き回るの面倒くさい」などと言わず、お散歩がてら歩いてみてほしい。しかも、距離があるように見えて意外とすぐに回れてしまう。
何か新しい! 絶品「コッペパン」
コッペパンと言えば、小学校の給食を思い出す人も多いだろう。長細くて丸みを帯びた、あのパンである。そんな懐かしいコッペパンを並んでまで買いたくなる逸品へと昇華させたお店を、パルム商店街に見つけた。
「パンの田島」はコッペパンと揚げパンを専門にしたパン屋だ。「甘いコッペパン」「お惣菜コッペパン」「揚げたてパン」を販売している。チョコチップ&クリームやハム&タマゴが挟まったコッペパン、きなこのかかった揚げパン、お馴染みのカレーパンなどがあり、店頭でオーダーして出来上がりを待つ。
コッペパンは、遠い記憶にある給食のものとは違い、ふんわりキメ細やか。夏場にはアイスクリームの他、マンゴー&ヨーグルトクリームを挟んだ「夏コッペ」(280円~)も販売している。正直、筆者としてはこれだけでも武蔵小山まで足を運ぶ価値があると思った。
涼感たっぷりなゼリーもお見逃しなく
「健康こだわり食品」と書かれたのれんを見ると、何となく地味そうな気がして通り過ぎてしまう人もいるかもしれない。しかし、同じくパルム商店街で見つけた「近江の館」は、ちょっとした珍食品を置く面白いお店だった。
ここで目を引いたのは、日本初の魚肉ソーセージや、思わず誰かにあげたくなる夏季限定の爽やかなゼリー。「夏に飲んでほしい! 」という冷やし甘酒も販売されていたが、パックでの販売のため、その場で飲めるのは試飲のみだった。真っ赤な「赤こんにゃく」は、「派手好きな織田信長が作らせたと言われているんですよ」とのこと。親切な店員さんが、いろいろな食材トリビアも教えてくれて面白い。
日本で初めて作られたという「魚肉ソーセージ」(150円)。国産アジと豚肉が入っていて「どちらのダシも入っているから旨味が違う」(店員さん談)とのこと。「そのままでも、ホウレンソウなどと一緒に炒めてもおいしいです」と、料理法も教えてくれた |
プチプライスな一口パン
パルム商店街の出口付近で、店頭にパンを並べた「こみねベーカリー」があった。店内には入らなくても買えて、価格もお手軽である。数十円単位のプチプライスなパンがあれば……と思って見ると、「もっチーズ」なるものがあった。なんと1個50円。3個で130円!
その他、パルム商店街には、全長60cmの超巨大パフェ(2,800円)で知られるカフェ「王様といちご」などもある。さすがに持って歩けないため立ち寄らなかったが、パフェ好きな人は試してみてはいかがだろうか。
夏に飲みたいもの……「それはビール! 」と拳を上げたくなる人も多いはず。続いては、武蔵小山でそんな欲求を満たしてくれるお店を紹介しよう。