東京商工リサーチは25日、2017年3月期決算の上場企業2172社の平均年間給与調査の結果を公表した。平均年間給与は628万1,000円で前年より4万1,000円(0.6%増)増加した。
7年連続の増加も伸びは鈍化
業種別では、全10業種中、水産・農林・鉱業、金融・保険、不動産の3業種を除く7業種で前年を上回った。平均年間給与が最も大きかったのは建設業で711万8,000円だった。旺盛な建設投資を背景にゼネコンが牽引した。
2位は金融・保険(694万円)、3位は不動産(690万2,000円)だった。いずれも、年間平均給与が高い業種だが、金融・保険はマイナス金利や低金利競争により収益に影響、不動産では不動産価格の高騰による投資物件の動きが鈍り、給与に影響したと見られるという。下位2業種は小売業(515万3,000円)、サービス業(539万円)となったが、人手不足を背景に待遇改善が進んでおり、7年連続で年間平均給与は増加したとしている。
全体としても、2010年3月期以来、平均年間給与は7年連続で増加。49万1,000円の増加となっている。ただし、伸び率は2013年3月期以来の1%割れとなり、鈍化が目立つ結果になったとまとめている。
金額別でみると変わる印象
全体の傾向と業種別上位を見ると、平均年間給与の高さに驚きを感じてしまうかもしれないが、金額別で見た場合、少し印象が変わりそうだ。
平均年間給与を100万円刻みで見ると、500万円以上600万円未満が最多。このレンジには630社が入り、全体の29.01%を占めたとしている。次点が600万円以上700万円未満で同27.39%だった。500万円以上700万円未満のレンジに半数以上の企業が入ったことになる。
ちなみに、市場別で見ると、トップは東証1部の676万2000円。次いでマザーズが624万2000円だった。東証2部は553万7,000円となっており、東証1部と120万円近い開きがあったという。
一方で1000万円以上の企業は47社で同2.16%。トップは東京放送ホールディングス(TBSホールディングス)で1,661万5,000円、次点以降は朝日放送で1,515万8,000円、フジ・メディア・ホールディングスで1,485万4,000円と続いた。上位3社はメディアとなったが、それ以降には、金融、商社などが入り、例年通りの企業名が並んだ。
一連の結果から、平均年間給与の変動を探る場合は、業種の動きに着目し、そこから該当する業種における個別企業の変動を探ったほうが、細かな変化に気づけるようになりそうだ。