前回、賃貸住宅のベランダでもガーデニングは可能という話をした。もちろん、家庭菜園も可能だ。どうせなら、育てる楽しさとともに、食べる楽しさを追求してみてもいいだろう。そこで今回、ドイト花ノ木与野店のガーデン担当である柳下和之さんに気軽にベランダでできる家庭菜園のポイントを教えてもらった。

どうせなら、食べる楽しさも味わいたい!

スターターキットは総額2,000円程度

まず、最低限これは必要というスターターキットを紹介しよう。鉢物を購入するでもいいのだが、ベランダで1~2苗を育てるのであれば、以下のようなキットをそろえたい。

・野菜の培養土(税別698円/20L)
・鉢底石(税別398円/5L)
・プランター(税別598円/幅480mm/スノコ付き)
・プランター受皿(税別298円/幅480mm対応)

スターターキットの一例

もちろん、これに苗なり種子が必要になる。培養土は、肥料など植物を育てるために必要な成分を混ぜ合わせた用土であり、土作りの手間が省けて初心者にオススメ。初期段階ではこのアイテムだけでOKだが、植物が育つにつれて土の中の栄養分も減ってしまうため、定期的に活用液を足す必要がある。

活用液はそのまま刺して使えるタイプと原液タイプのものがある。活用液の他、固形の緩効性肥料もあるので、自分の植物にどのような活用液や肥料が必要になるか、お店の人に相談してみるといいだろう。

植物の成長に合わせて、活力液や肥料の追加を

オススメはよく育ちすぐ収穫できるもの

夏から始めるのであれば、柳下さんは香味野菜系がオススメとのこと。シソやバジル、パセリ、ルッコラは苗やタネから始めることができ、二十日わけぎは7月頃から9月頃まで球根が流通する。これらはよく育ち、植えれば30日周期で収穫できるため、すぐに成果が出るという意味でも分かりやすくていい。逆に、キュウリやトマトなどは、資材代も含めると野菜としてスーパーなどで買った方が安かった、ということになる場合もある。

特に二十日わけぎはその名前通り、約20日間で収穫でき、ある程度根がつまってきたら株分けしてまた増やすこともできる。例えば、お味噌汁に入れる、豆腐に載せる、という具合に、二十日わけぎは料理を華やかにしてくれる名わき役として使える。

こうした香味野菜系は、買うと結構いい値になるものの、そんなに量はいらないことが多い。育てては成長したところをちょっと切り取って料理に使い、また育ててはちょっと切り取って……ということができるため、経済的でもある。もちろん、できたての野菜を食べられるというメリットもある。

ハードルは上がるが、植物は苗よりも種子から育てる方が安価にたくさん収穫できる

香味系野菜は鉢や球根でも販売されているが、より経済的に楽しむのであれば種子で購入するといいだろう。種子は1パック200~300円程度で購入できる。家庭菜園として種子から育てる場合、初心者にオススメなのは、バジルやルッコラ、カモミールなど。逆に、ローズマリーやセージ、ラベンダーなどは、初心者にはちょっとハードルが高いと柳下さんは言う。

バジルやルッコラ、カモミールは比較的育てやすい

ローズマリーやセージ、ラベンダーは少し慣れてからがいいだろう

自分の手で育てたものをいただく。いつもの料理がいつも以上においしく感じられるだろう。今回紹介したものはどれも場所をとるものでもないため、まだベランダを活用できていないのであれば、試しにやってみてはいかがだろうか。

※価格は2017年6月時点の、ドイト花ノ木与野店での販売価格

プロフィール: 柳下和之

ドイト花ノ木与野店・ガーデン担当。「歩く植物図鑑」と呼ばれるほどの学究肌で、植物のみならず虫、農薬などの園芸にまつわる分野に精通している。好きな植物は「キンモウコウ」で、「ひょろっとしたところがかわいい」とのこと。