エーザイはこのほど、東京都内にてメディアセミナーを開催。同セミナーでは、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長の対馬ルリ子氏が「女性の健康とビタミンの有用性」に関する基調講演を行い、知られざる「ビタミンB群」の驚くべき効能について解説した。
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長の対馬ルリ子氏 |
日本女性は閉経後40年近く生きる
現在、日本女性の平均寿命は87.05歳と、90歳に迫る勢いである。ただ、女性ならば誰しもが「いつまでもきれいで若々しく、元気でいたい」と願うもの。特に日本女性は健康や美容に対する関心が非常に高く、「世界一長生きで世界一きれいで若々しい」とも評される。実際、美しい50~60代女性、いわゆる「美魔女」はもはや珍しくない。
女性には幼女期、少女期、思春期、性成熟期、更年期、老年期というライフサイクルがあり、性成熟期が妊娠・出産に適した生殖期にあたる。対馬氏によると、戦前の日本では、女性はこの性成熟期の20歳前後から何度も出産して子育てをし、閉経する更年期(50歳前後)になると、もう「おばあさん」とみなされていたという。
「寿命も短かったので、その後の余生はわずかだったんです。でも現代女性は、その後に40年近く生きていくことになります。閉経の前後で女性の体の生命力、エネルギーを守る存在である女性ホルモンは急激に減少し、やがてなくなっていく中で、どんなにきれいで、元気でいたいと願っても、実際の体の状態はどんどん乖離していくわけです」
このギャップを埋めるため、若い頃からの生活習慣によって、「健康のスキル」を発達させていくことが現代女性の課題であると対馬氏は指摘。そして、その重要な鍵となるのがビタミン、特にビタミンB群だと明かす。
美容によいビタミンはA・C・Eより、むしろB群
「きれいで元気」の基本は五大栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル)がそろっているバランスのよい食事である。これらの栄養素は1本の輪でつながって共働しているため、どれか一つが欠けても、糸が切れたネックレスの玉のようにバラバラになってしまい、体内で働いてくれない。「●●抜き」や「●●だけ」などの偏ったダイエットが、いかに健康や美容に害を与えるかがわかる。
「多くの女性が健康や美容によいビタミンとしてA、C、Eを意識していますが、B群については知識もなく、意識して摂(と)っている人は少ないのが現状です。でも、実は健康と美容において、(ビタミン)ACE(エース)より注目すべきなのがB群なのです」
ビタミンB群とは、体の代謝の根幹になっているビタミンで、生きるためのエネルギーをつくるのに欠かせない栄養素。特に女性ホルモンが激減し、代謝が変わる更年期の女性に大切なビタミンだという。では、どんな食物に多く含まれるのだろうか。
「キャビア、うなぎ、あんこう、たらこ、いくら、レバー、チーズなどに含まれますが、女性が一日に必要な量、1.2mgを摂取するためには、豚レバーなら毎日50g、納豆なら6パック、うなぎなら3串と、食物だけでの摂取は難しいです。健康飲料やサプリメントによる補充をお勧めしますね」
つらい更年期症状はビタミンB群で乗り切る
具体的な更年期の症状と、それらに対応したB群の効果についても対馬氏は紹介。以下に一例をまとめた。
■冷え・肩こり・イライラ・気分の落ち込み……「毛細血管を広げて血流をよくする」「神経の働きを整える」
■体がだるい、疲れやすい、全身に倦怠感を感じる……「代謝をアップして疲れにくい体をつくる」「疲労を回復させる」
■シワ、たるみ、吹き出物、薄毛……「皮膚と粘膜の健康維持を助ける」「頭皮の細胞を再生させたり、生まれ変わりを助けたりする」
ビタミンB群は、女性にとって文字通り「うれしい効果がつまった存在」と言えるだろう。
「現代女性は仕事、子育て、家事、おつきあい、親の介護など、常に多機能を要求されています。その分忙しく、ストレスも多い。ストレスやアルコール、肉の摂取が多い人、運動をする人、偏食の人は、特にB群が大量に消費されて体の代謝が低下し、美しさと活力が失われていき、結果、肌荒れ、口内炎、疲労感、倦怠感、むくみなどの症状が現れます」
特にビタミンB2は、肌や粘膜の健康維持に深く関わっている。そのため、B2が不足すると肌荒れや口唇炎、口内炎、目の充血など、皮膚や粘膜のトラブルを引き起こし、スキンケアもうまくいかなくなると対馬氏は話す。
多岐にわたるビタミンB2の役割は以下の通り。
(1)三大栄養素を分解してエネルギーに変える
(2)新陳代謝の促進
(3)脂肪燃焼
(4)有害物質を取り除く(デトックス)
(5)子どもの発育
(6)肌と髪の安定
(7)過酸化脂質の分解(老化予防)
(8)腸内環境を整える(便秘予防)
B2を摂取すると炭水化物やたんぱく質、脂質が体内でエネルギーとして代謝され、余分な老廃物は排泄されていく。その結果、疲労回復につながる。実際、肌のトラブルや不調、倦怠感などでクリニックに訪れた患者にビタミンB群を処方すると、症状が改善すると対馬氏は話す。
「私も疲れがたまっているときは、就寝前にB群がたくさん入った健康飲料を飲んでいますが、翌朝はかなり疲労が取れて肌の調子もいいんです。B群は水溶性なので、多く摂っても尿中に排泄されやすく、摂りすぎになることはありません。毎日、意識してこまめに摂ることが大切ですね」