「マイナビオールスターゲーム2017」(14日・ナゴヤドーム、15日・ZOZOマリンスタジアム)の中継で解説を務めた元広島の前田智徳氏に、第2戦終了後にインタビュー。試合を振り返ると共に、解説者という"仕事"についての思いや、今注目している選手などについて話を聞いた。

元広島で野球解説者の前田智徳氏

――今日の試合(第2戦)の流れを変えた、勝負の決め手となったシーンはどこだったと思いますか?

秋山選手が勝ち越しのタイムリーを打った回もそうですが、やはり則本投手がすばらしいパフォーマンスを含めて2イニングをパーフェクトに抑えましたし、しっかり力でセ・リーグのバッターをねじ伏せた感がありました。そして、そこからの流れを渡さずに引き継いだパ・リーグの選手陣ですね。

勝ち越しの回はセ・リーグもノーアウト3塁から2アウトまでもっていって、あそこでもう1アウトとって乗り切っていればセ・リーグに流れがいった可能性があるんですけど、そこでしぶとく秋山選手がタイムリーを打ち、則本投手からの主導権を渡さず。そのあとは、ピッチャーがしっかり抑えて、打者はデスパイネや鈴木大地が打ち、パ・リーグの方がパワーがありました。今回のオールスターは、投打ともに第1、2戦ともパ・リーグが上回っていましたね。

――2日間を振り返って印象に残っているシーンは?

柳田選手は、われわれもファンもそうですけど、今回最多得票で選ばれてますし、それだけ見る側も興味がありますよ。あれだけのスイングをして、空振りひとつにしても、長打にしても、走るスピードもありますし。今日は空振り三振しましたけど、非常に面白かったです。ヘルメットが落ちるくらいのオーバースイングで振ってましたから、あれで当たったらどこまで飛ぶのかなというのは見たいし、三振にしてもホームランにしてもいろんなことを想像させてくれますよね。

――プロ野球の解説者になってよかったなと思うことは?

今年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がありましたが、ああいうゲームを解説できる。ジャパンがしっかりと勝ち進み、1次ラウンド、2次ラウンドから負けられない戦いを繰り広げ、プレッシャーと緊張感がある中、われわれもあるんですよ。そんな中でキャンプからずっと一緒にまわって、アメリカまで連れて行ってくれて解説できるというのは…。それを目標に解説者をやってみたいという思いがあったので、非常にうれしかったですね。

――解説者としてモチベーション、やりがいは?

WBCもそうですし、普段の試合であれば、いろんな選手とインビューで会話をかわして、本音と建前を聞き分けたりして、そういう楽しみがあります。

――解説者として心がけていることは?

やはり、ユニフォームを着ている間は選手が一番。彼らは年齢は下ですけど、しっかりリスペクトしながら本音を聞き出したいなという思いがあります。限られた時間の中で。

――プロ野球界で今、最も注目している選手は?

それは大谷選手ですよ。ただ、この若さでケガをして、私も若くして大きなケガをして苦しんだ選手なので、そこが一番心配だったんですけど今年早々にそれが出てきてしまって…。ここからまたどうやって、あれだけの恵まれた体と向き合って、我々をどう楽しませてくれるのか楽しみです。

――メジャーとかも見てみたいですか?

そうなんですけど、メジャーに行くのであれば本当にしっかりとケガと向き合わないといけない。ケガをしたら引退するまで自分でケアをして、トレーニングやリハビリをして付き合っていかないといけない。治ったからといってを怠ってしまうとまた再発してしまうというのは、十分僕もわかっているので。どんどん違うところも…ケガが止まらなくなる可能性がある。それを防ぐために、技術練習ももちろんですが、一番大事なのは体をしっかり整えて鍛えてリハビリをして、それを含めたものが準備。そこが一番気になるし、しっかりやってほしいなと思っています。