7月8日、原宿アストロホールにてアニソンシンガー・MICHIが1stライブツアー「I4U ~Supernatural~」の東京公演を開催した。フロアをいっぱいに埋め尽くしたMICHIんちゅ(=彼女のファンの総称)を前に、あふれる幸せと笑顔いっぱいのライブを見せてくれた。
初期の楽曲から、感じられた彼女の成長
まず、ステージ上のDJブースにこの日のプレイを担当したDJ HALUが登場。そのまま「Overture -Sprint for the Dreams-」が流れフロアが温められていくと、その終盤に満を持してMICHIが登場。続けて最新シングル「I4U」を歌いはじめると、彼女が迎え入れられた際よりもさらに大きな歓声が上がる。
その「I4U」、冒頭こそ凛と歌い始めたものの、Bメロではフロアからのコール部の声の大きさに思わず笑顔。ファンもコール・フリともに予習バッチリで、サビもぴったり彼女にくっついていく。そしてその光景に合わせて、MICHIの笑顔の花もドンドン開いていくのがはっきりとわかった。また、歌声はサウンドとともに力強く飛んで来るようで、その矢のような鋭さで1曲目からオーディエンスの心を射抜いていくようだった。
DJ HALUのプレイで、そのままシームレスにデビュー曲「Cry for the Truth」がスタート。よりその表情に雄々しさが出る。歌声の面でも特に中音域での強さが増し、ビブラートもより効果的に。デビューから2年の成長を、肌で感じることのできた1曲だった。そんな彼女から、サビではまたも笑顔がこぼれる。お立ち台にも上がってフロアを見下ろす彼女は、アストロホール中の誰よりも幸せそうだった。続く「∞Infinity∞」も、リリースから1年半でより表情のついた曲。Bメロに色濃くなった温かさが、今の彼女にピッタリの歌詞となり、サビの強さを引き立てる。
まず3曲を歌いきったMICHIは、フロアに向かって「ハイサーイ!」と挨拶。眼前に広がる光景に改めて感動したのか「サイッコー!」と笑顔で手を振りまくる。「頭から泣きそうだったけど、もう楽しい!」との心情を隠さず詳らかにしてくれたところで、彼女からも逆に「全力で魂込めてみんなに感情をぶつけるので、皆さんも心の奥の扉全開にして受け入れて、みんなも気持ちぶつけに来てくれますか!?」との呼びかけが。もちろんオーディエンスは大歓声でそれに応え、さらにライブを白熱させていくのだった。
バラードから全開のロックまで、盛りだくさんの中盤戦
さて、ここから2曲は『クロムクロ』のEDテーマを争った言わば"姉妹曲"のゾーン。まず「春夏秋燈」では歌唱前にフロアを4等分し春夏秋冬の役割決めが行われ、「せーの」の合図に合わせて掲げられた4色のライトの美しさに、思わずMICHIもテンションUP。その光を前に歌われたこの曲では、先ほどまでとは逆にメロ部では笑顔、サビや後奏では楽曲に入り込んでの歌唱に。そのサビでは歌声を切ない表情に乗せて、最後まで絞りきるようだった。そして実際に『クロムクロ』のEDを飾った「リアリ・スティック」へ。サウンドの雰囲気にマッチする、太めの歌声を響かせる。加えて、ダークな楽曲に合わせた鋭い表情で見せた、イントロや2サビ明け等の部分でのこの日随一のダンスパフォーマンスのキレが印象的な楽曲でもあった。
その想いを胸に、彼女が続けて歌ったのはバラード2曲。まず「Secret Sky」は、8分の6拍子のゆったりとしたリズムに乗りつつも、サビでは力の入れどころと抜きどころのメリハリがはっきり感じられる歌声に。また、1サビ明けから自ら先導したワイパーについてきたオーディエンスに向けてか、2サビ明けにはオフマイクで「ありがとう」と、ぽつりと感謝の気持ちを表していた。
そして1stアルバムを締めくくる「流星」へ。当時の彼女に深く寄り添った大切な1曲を、さらに胸に沁み入るものにしたのが"今"のMICHIの歌声。前半に温かみを持たせつつ後半ではサビへと繋がる強さを持たせたBメロや、歌詞と結びつく彼女の強い決意の表れたDメロなどからは、ボーカリストとしての表現力の成長と、積み重なった想いを感じることができた。最後はフロアをさーっと右手でさらい、それを大事に胸にしまって一礼。一旦ステージを降りる。
前半戦が美しく締まったところで、DJ HALUによるDJプレイが会場を再び徐々に熱していき、衣装チェンジを終えたMICHIがステージにカムバック。「超常性ワールド」のイントロとともに「暴れるぞー!」とシャウトし、一気にフロアを爆発させる。MICHI自身もサビでは爆走するようなサウンドに負けない強い歌声を発信しつつ、右腕ではさらにフロアのボルテージを上げにかかっていた。また、楽曲終盤ではシャウトで感情をあらわにするシーンの目立ったこの楽曲。特にラスサビ最後のワンフレーズ「(予定調和の未来を)いまこの手で打ち砕けー!!」は、心の底からの叫びだった。
そのままスタンドにマイクを設置しての「Desperado」では、ストロボ光るなかでスタイリッシュにステージを展開。パフォーマンスは実に雄々しく、ここではただのかっこよさの域を超えた、ロッカーのような圧を感じるものだった。そして今度はタオル曲「夏の終わりのクレッシェンド」。こちらはサビで回るタオルやコールの掛け合いなど、ファンと一緒に作り上げていく1曲に。特に、それはともに進んでいく意志の込められたDメロで色濃いものとなり、「君に届け!」を「MICHIんちゅに届け!」にアレンジしたラスサビで両者が強固に繋がったように見えた。
そのブチ上げパートの盛り上がりに感謝しつつ、「大好きなデザインそのままに作ってもらった」という後半の衣装を、お立ち台から後方にまで見せるMICHI。また、「超常性ワールド」のVJとして上映された彼女が繁華街をすり抜けていく映像は、この日のために撮影されたものだと明かされ、道行く人たちとすれ違いながら「この方の"超常性ワールド"は何なんだろう?」と想像しながらの撮影だった、と裏話を語ってくれた。