ゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)は新型ラグジュアリークロスオーバー「キャデラック XT5 CROSSOVER」を発売する。日本では良くも悪くも“アメ車”のイメージが強いキャデラックだが、このクルマは同社のイメージを変えるという使命も背負っているようだ。

日本で発売となるキャデラックの「XT5」

高い居住性と走行性能を両立

XT5はミドルサイズのラグジュアリーSUV。発売は2017年10月28日で、価格は税込み668万5200円からだ。日本発売を知らせる発表会に登壇したGMジャパンの若松格社長によると、このクルマの特徴は、クラス最大級の室内空間を確保しつつ、従来比90キロの軽量化を実現し、居住性と走行性能を両立させたところだという。

縦軸にクルマの重量、横軸に全長をとったスライド。XT5は同程度の重量を持つ競合車に比べると全長が長く、同じくらいの全長を持つ競合車に比べると軽いということを示している

発表会に駆けつけたグローバル キャデラック最高マーケティング責任者(CMO)のウーヴェ・エリングハウス氏によると、XT5はグローバルで好調な売れ行きを示す車種だという。日本の顧客はクルマに対する要求が高く、特徴あるデザインを求めており、アメリカン・ライフスタイルに関心の高い人も多いというのが同氏による日本市場の分析だが、XT5は日本にぴったりなクルマだとアピールしていた。

GMジャパンの若松社長(左)とグローバル キャデラックのエリングハウス氏

SUVの概念とキャデラックのイメージは塗り替えられるか

XT5は「SUVの概念を塗り替える」クルマだとGMジャパンはアピールするが、このクルマが発する“ラグジュアリー感”は、最近のキャデラックが訴求ポイントとして大事にしている部分。日本市場において、“アメ車の概念”を塗り替えることもXT5の使命だ。

日本におけるキャデラックの販売台数を見ると、直近の数字で2015年度は801台、2016年度は585台という状況。日本の輸入車市場はドイツ勢が強く、同じ米国勢のフォードが撤退するなど、GMにとっても厳しい事業環境は続く。そんな状況もあってか、発表会の質疑では販売台数に関する質問も出たが、若松社長は「むやみに台数は追わない」と明言。「特別で質の高いクルマを提供」することに注力したいと話していた。GMジャパンの台数に関する考え方やブランド戦略については先頃、若松社長に詳しく聞いた記事でお伝えしたとおりだ。

XT5はキャデラックが打ち出すラグジュアリー感を浸透させられるか

XT5とシボレー「カマロ」が発売となる今年は、GMジャパンにとって大事な年だと若松社長は語る。販売台数が一気に反転するかどうかは難しいところだが、新型車投入を機にGMのイメージチェンジを進めることは、今後も日本事業を続けていく上で必須となるだろう。