ユニクロはこのほど、杏林大学医学部名誉教授の古賀良彦先生監修のもと行った検証実験「臭いが気分や生産性に与える影響」の結果を明らかにした。
実験は、心理学の分野において気分や感情の状態を調べる「POMS2」を使用し、汗臭を嗅(か)いだ状態、無臭の状態で心理状態の変化を検証した。
その結果、無臭より汗臭の環境では、総合的にみて気分がネガティブになることがわかった。特に女性は男性と比較して、汗臭時の気分の変化が大きく、女性の方が汗臭に対して敏感であることが明らかになったという。
女性で特に差が大きかったのは「疲労・無気力」の項目だった。汗臭を嗅ぐと、無臭の3倍もネガティブな心理状態になることがわかった。
次に自覚的な心理状態を数値化するVAS(Visual Analog Scale)を用いて、心理面への影響を検証した。臭いそのものに関する評価をみると、汗臭は無臭に対し「とても嫌いな香りだ」の項目でポイントが高くなった。さらに汗臭は「とても気持ちが暗くなる」や「とても気分が悪い」と、精神状態に悪影響をもたらすことが明らかになった。
パフォーマンスや生産性に関連する項目では、汗臭は「とてもやる気が出ない」とモチベーションの低下を体感している人が多かった。「とても頭の回転が遅くなった」と、パフォーマンスの低下を感じている人も多くなっている。
続いて、集中力を測定する計算テスト(内田クレペリン検査)を使い、臭いがパフォーマンスや集中力に与える影響を検証した。全体では無臭、汗臭の状態で、計算問題の達成数、正答数のいずれをみても顕著な差はみられなかったという。
しかし、男女別にみると、女性は汗臭を嗅ぐと達成数、正答数の両方で低下し、集中力が落ちることを示唆する結果が出たという。心理状態の変化と同様に、同検証でも女性の方が臭いに敏感であるという結果になった。