アウディが旗艦モデル「A8」の新型を発表した。このクルマには、市販モデルとしては世界初となる「自動運転レベル3」の機能が搭載となる。乗る国の法律によっては手放し運転も可能という触れ込みのA8は、クルマの新しい在り方を提示するモデルとなりそうだ。
車載テレビを見ていても大丈夫?
アウディはスペインのバルセロナで開催した「アウディサミット」で新型A8のワールドプレミアを実施した。同社がフラッグシップモデルに位置づけるクルマの第4世代は、世界に先駆けて自動運転の新たな領域に踏み込む。販売はドイツで2017年晩秋から、価格は9万600ユーロ(約1180万円)からとなる。
A8が市販モデルでは世界で初めて搭載する機能が「Audi AIトラフィックジャムパイロット」だ。同機能は、「中央分離帯のある比較的混雑した高速道路を時速60キロ以下で走行しているとき」に限って使用可能。システムを起動すると、発進、加速、ステアリング、ブレーキの各操作をクルマに任せることができる。
アウディの説明によれば、システムの起動中、運転手は操作を「注意して見守っている必要」がなく、「ステアリングホイールから手を放したままでも大丈夫」だし、「その国の法律で許されていれば、車載のテレビを視聴するなど、運転以外の行為を行うことも」可能だという。
この機能は、自動運転のレベリングで言うところのレベル3に該当する。レベル3では事故が起こった時に、クルマが自動運転状態だったか、ドライバーが運転している状況だったかによって、その責任の所在が変わってくる。アウディによると、A8では「システムが機能の限界に達した場合には、すぐさまドライバーに、運転操作に戻るよう通知」するということだが、通知があった場合でも、ドライバーがすぐに運転に集中し、何か危機が迫っていれば、それを回避できるかどうかは難しいところだ。どのようにクルマがドライバーに状況を伝えるか、つまりはヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)の部分が重要になってくる。
アウディは2018年以降、「パーキングパイロット」「ガレージパイロット」「トラフィックジャムパイロット」といった先進的な技術を段階的にA8に導入していく方針。これらが各国でどのような反応を引き起こすか、注意して見守っていく必要があるだろう。