2017年のCOMPUTEX TAIPEIでその存在が明らかとなったIntelのハイエンドCPUであるCore Xシリーズ。CPUの出荷開始は7月14日になる模様である。ただこれに先駆けて7月上旬からこのCore-Xに対応するX299マザーボード「だけ」が大挙発売されているという、これはこれで訳の分からない状況になっている。すでにこれをお読みの読者の中にも購入された方も居られよう。
発売直前になってしまったが、このCore-Xプロセッサを試用することができたので、その性能などをまとめてお届けしたい。
まもなく登場予定の8コア/10コアモデル
今回試用できたのは、Core i7-7820XとCore i9-7900Xの2製品である(Photo01,02)。どちらもXeon Scalable Processorと同じSkylake-SPコアを搭載した製品だ。まずCore i7-7820Xは8core/16Threadで、定格3.6GHz/最大4.5GHzというスペックになっており、AMDのRyzen 7 1800Xにピッタリ狙いをあわせてきた製品である(Photo03~05)。
Photo03:L2は8MBでこれはRyzen 7 1800Xと同じだが、L3は11MB。TDPは140Wである |
Photo04:キャッシュ構成はこんな感じ。L3はこちらにあるように1.375MB/coreなので、128KB単位でInterleaveしている計算になる |
COMPUTEXでは599ドルと紹介されたが、先の記事によればオンライン価格が税込74,980円ということで、換算レートは115.6円/USDというあたりである。
一方のCore i9-7900XはCore i9シリーズのローエンドである10core/20thread製品である(Photo06~08)。動作周波数は定格3.3GHz/最大4.5GHzとなっている。COMPUTEXの記事でもちょっと触れたが、Intelは当初、Xeon向けでもコア数が少ないLCC(Low Core Count)ダイ(+KabyLake)だけでCore-Xシリーズを構成するつもりだった。
LCCは最大12コアなのでこのCore i9-7900Xと、その上位にあたるCore i9-7920XもLCCダイを使って提供される予定だったが、AMDのThreadRipperの投入により急遽方針を変更した。LCCダイはCore i9-7900Xまでにとどめ、Core i9-7920X以上はMCC(Middle Core Count)ダイを利用して提供されることになった。
ただこのMCCダイは、入手性以外にもいろいろと問題が出ているようで、提供開始までにはまだしばらく時間を要する。そんな訳で、Intelは当面このCore i9-7900XでThreadRipperを迎え撃たねばならない状況にある。
ちなみにこちらは税込み124,980円。999ドルという値段だったので、換算レートは115.8円/USDというあたり。全体的にちょっと高目ではあるが、ご祝儀相場だから、もう少ししたら落ち着くかもしれない。ちなみに7月6日におけるRyzen 7 1800Xのお値段はAmazon.co.jpだと57,780円となっている。この価格性能比に対抗できるのかというあたりも評価ポイントの1つとなるだろう。
あとCore i7-7820XとCore i9-7900Xは目立たないが大きな変更が一つある。Core i7-6950XのCPU-Zの画面と比較すると、InstructionにAVX512Fが追加されているのが判るはずだ。従来AVX512はXeon系列でのみ有効とされていたのだが、Core-Xファミリーはこれを有効にすることにしたようだ。
ところでCore-XというかLGA2066プロセッサだが、Photo01を見ていただくと右上に謎のチップが搭載されているのが分かるだろうか? Photo09はこれを拡大したものである。IntelによればこれはRFIDチップで、ただし現在は無効なのだとか。具体的にいつ有効になるのかとか、これで何を管理するのかなどはいまのところ不明なままである。
これと組み合わせるマザーボードであるが。今回はMSIのX299 GAMING M7 ACKを借用した。ちなみに同じく7月6日におけるAmazon.co.jpでの価格は59,378円で、まさしくハイエンドゲーミング向けに機能てんこ盛りの製品である(Photo10~18)。