日差しをやわらげてくれるグリーンカーテンは、その色合いも相まって、うだるような夏の暑さにひとつの涼しさをもたらしくれる。しかし、夏はもう目の前。今からでもまだ間に合う植物を使っての涼のとり方を、ドイト花ノ木与野店のガーデン担当である柳下和之さんにうかがった。
今からならゴーヤや宿根アサガオを
東日本大震災の際、節電・省エネのアイデアとしてグリーンカーテンが話題になり、それから毎年実施しているという人もいるのではないだろうか。その名の通り、グリーンカーテンは延びるつるによってカーテンのように緑の葉を茂らせ、室内に入る日差しを遮ってくれる。また、根から吸い上げた水が葉から蒸発する際の気化熱の作用で、温度の上昇を抑えることができるという。
グリーンカーテンにできる植物として、ゴーヤや宿根アサガオ、アカザカズラ(オカワカメ)、ツルムラサキ、パッションフルーツなど、さまざまな種類がある。ただし、柳下さんによると、グリーンカーテンの苗植えは通常、5月上旬~6月頭くらいがベスト。7月上旬の遅植えの場合、特に花や実ではなく葉っぱを茂らせるという意味では、ゴーヤや宿根アサガオ、アカザカズラ、ツルムラサキなどがオススメとのこと。
7月になってから宿根アサガオを植える場合、小さい株で植えるとその年には花が咲かず、葉っぱだけで茂らせて終わるという可能性が高い。冬を越えて春に植え直し、来年の夏に花を咲かせるということになりそうだ。また、ゴーヤを7月に植えるとすると、肥料をしっかり与えればよく茂るものの、実がなる頃には寒くなってしまうので、十分実はとれず、ちょっと収穫して終わりとなる。
アカザカズラ(オカワカメ)などは、葉っぱがぼってりと厚いので好みが分かれるかもしれないが、グリーンカーテンという役割は十分に担ってくれる。こちらも通常、5月上旬~6月頭くらいが植え時ではあるが、7月上旬くらいまででも植えることはできるという。ちなみに、アカザカズラはツルの先端の葉はゆでて食べることができ、栄養成分に富んだ食材でもある。
茶碗に水生植物というのもあり
グリーンカーテン以外に涼をとる植物として、柳下さんは夏場は水生植物をオススメしている。特に、夏休みのお盆シーズンなどは出掛けることも多いので、水生植物は水をためておける分、水遣りを心配しなくてもいいというメリットがある。また、室内に置くのであれば、水苔も風流だ。
水生植物と言うと、重たい水受け鉢をイメージする人もいるかもしれないが、最近では水量を調整できるキャップ付きのプラスチック鉢もある。また、ガラスの器や茶碗などを使って、簡単に楽しむというのもありだ。
水生植物を育てる注意点として、やはり植物ゆえ、適度に光が必要となる。また、ガラスの器や茶碗などで育てる場合、水量が少ないと高温になりやすい。季節や時間帯によって置く場所を変えるなど、植物にとっていい環境になるように気にかけるようにしよう。
プロフィール: 柳下和之
ドイト花ノ木与野店・ガーデン担当。「歩く植物図鑑」と呼ばれるほどの学究肌で、植物のみならず虫、農薬などの園芸にまつわる分野に精通している。好きな植物は「キンモウコウ」で、「ひょろっとしたところがかわいい」とのこと。