国土交通省航空局は7月4日、地方空港の国際航空ネットワーク充実とインバウンド増加に向けて取り組むとして、全国27の空港を「訪日誘客支援空港」と認定したことを発表。自治体等が誘客・就航促進の取組を行う地方空港を訪日誘客支援空港と認定した上で、総合的な支援措置を行っていく。
2016年における空港以外の地方空港の訪日外国人受入割合は、成田が30%、関西が27%、羽田が15%、福岡が7%、那覇が6%、中部が5%、新千歳が5%で、そのほかの地方空港が5%となっている(出典: 法務省出入国管理統計)。
「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年3月)では、訪日外国人旅行者数を2020年に4,000万人、2030年に6,000万人と目標を定めているが、この目標達成のためには、地方空港へのLCC等の国際線の新規就航や増便を強力に推進することが必要となる。このことを踏まえ、訪日客誘致・就航促進の取り組みを行う地方空港を訪日誘客支援空港と認定した上で、国は必要な支援を実施することを定めた。
訪日誘客支援空港は、「訪日誘客支援空港の認定等に関する懇談会」(座長: 竹内健蔵(東京女子大学教授))における評価を踏まえ、全国27の空港を対象として認定。各地域における国際線就航を通じた訪日客誘致の取り組み拡大に向け、国による必要な支援を開始する。
訪日誘客支援空港には、空港ごとに誘客実績等が異なる実情に合わせ、より効果的な支援を講ずる観点から、3カテゴリーに区分する。なお、バンドリング予定の北海道6空港は1とカウントする。
「拡大支援型」は、訪日誘客に一定の実績をあげている上、拡大に向けた着実な計画・体制を有しており、運航コスト低減やボトルネック解消等と国の支援を拡大することにより、訪日旅客数のさらなる増加が期待される空港と定義。19空港(静岡、仙台、熊本、茨城、北海道(稚内、釧路、函館、女満別、帯広、旭川)、高松、広島、北九州、米子、佐賀、新潟、小松、青森、徳島、鹿児島、南紀白浜、岡山、山口宇部、松山)を対象としている。
「継続支援型」は、訪日誘客に一定の実績をあげている上、着実な計画・体制を有しており、引き続き、運航コスト低減やボトルネック解消等の国の支援を実施することにより、訪日旅客数のさらなる増加が期待される空港と定義。6空港(長崎、那覇、大分、宮崎、花巻、福島)を対象としている。
「育成支援型」は、訪日誘客に高い意欲を持ち、戦略立案策定等と国による伴走支援により、訪日旅客数の増加が期待される空港と定義。2空港(松本、下地島)を対象としている
訪日誘客支援空港に対する支援は、「新規就航・増便の支援」として、(1)国管理空港の国際線着陸料割引(割引率1/2以上・最大3年間)を拡大支援型に適用(継続支援型・育成支援型は現行インバウンド割を活用)、(2)コンセッション/地方管理空港の国際線着陸料補助(着陸料本則の1/3補助・最大3年間)を拡大支援型 に適用、(3)新規就航等経費支援(1/3補助・最大3年間)を拡大支援型に適用する。
空港受入環境の整備等として、(1)旅客の受入環境高度化(1/3補助)を拡大支援型を優先しながら継続支援型と育成支援型に適用、(2)CIQ施設の整備(1/2補助)を拡大支援型を適用する。