2016年度に発生した駅係員や乗務員など鉄道係員に対する暴力行為の件数が7月3日に発表され、前年度より約1割少ない712件だったことがわかった。日本民営鉄道協会加盟各社やJR旅客6社など85社局は、7月7日から暴力行為防止ポスターをいっせいに掲出し、さらなる暴力行為の減少を図る。
今回公表された数値は、大手私鉄16社とJR旅客6社など計34社局において2016年4月から2017年3月までに発生した暴力行為の件数を集計したもの。前年度は33社局で792件だったため、集計対象が1社局増えたにもかかわらず80件減少したことになる。啓発ポスターの掲出や警察官の巡回・警備員の配置など、これまで実施してきた取組みに加え、駅構内や列車内への監視カメラの設置などが功を奏したとみられる。
発表されたデータによれば、暴力行為は日中より夜、夜より深夜といった具合に時間帯が遅くなるにつれて多く発生する傾向があり、加害者の6割以上が酒気を帯びていたという。月別では8月と12月、曜日別では木・金・日に多く発生したこともわかった。加害者の年齢層に大きな差異はなかった。
減少傾向にあるとはいえ、いまだ年間700件を超える暴力行為が発生していることから、鉄道事業者85社局は7日から、駅構内や列車内などに暴力行為防止ポスター「「見逃しません! その暴力、犯罪です!」を掲出する。防犯カメラを前面に押し出したデザインにより、暴力行為を誰かが見ており、決して見逃さないとのメッセージを発信することで、暴力行為の未然防止を図る。このポスターは駅構内に約7,300枚、列車内に約6万1,000枚掲出する予定。掲出期間は9月6日まで。