「アクセシビリティ」。IT業界に携わっているのであれば、聞いたことがある言葉ではないだろうか。今回、ヤフーが3月に東北の復興活動をつなげることを目的に「Search for 3.11」をはじめとした「3.11応援企画」を実施した。そのページにおいて障がい当事者である日本視覚障害者ICTネットワークの中根雅文氏をテストユーザーとして特集ページを閲覧してもらい、アクセシビリティの検証について取材したので、その模様をお届けする。
アクセシビリティとは、英語ではAccessibility、近づきやすさ、利用のしやすさ、便利であることなどと訳され、一般的には利用者が機器・サービスを円滑に利用できる場合に使われており、昨今では高齢者や障がいの有無などにかかわらず、すべての人が容易に開かれた情報通信の世界へアクセスできる情報通信アクセシビリティが求められている(出展:情報通信アクセス協議会)。例えば、Webアクセシビリティには音声による読み上げへの対応などが含まれる。
中根氏自身は、AccSellというポッドキャストやメールマガジンを主なコンテンツとした、アクセシビリティに関する情報サイトを運営している。
音声・点字化し、Webページを読み取る
今回の検証は、ヤフーが2014年から取り組む東日本大震災の被災者や各団体に対して、ユーザーから募った寄付金を寄付する3.11応援企画ページを活用し、サイトのアクセシビリティ対応に伴う課題などの洗い出しを行った。検証自体はヤフー社内の会議室で行い、検証手法はPCとスマートフォンそれぞれでページを操作し、思考発話法を用いて音声読み上げ環境でのユーザビリティについて都度、発言してもらう形とした。
テスト内容は、(1)該当ページの目的や意図をページから読み取る、(2)「寄付は応援になる。」というメニューから寄付先の概要を理解し、ヤフー・基金に進む、(3)「オークションは応援になる。」というメニューからピックアップオークションとチャリティオークションに進む、の3つ。事前にツールによる機械的な検証を行い、さらに目視による検証を行った上で、中根氏にテストを実施してもらった。
中根氏は主に音声読み上げを使い、補助機器として点字ディスプレイを使用。点字ディスプレイはパソコンやスマートフォンにBluetooth、USBで接続ができるようになっており、カーソルの場所が表示され、スクリーンリーダーと呼ばれるソフトウェアにより、OS全体を音声・点字化する。中根氏の場合はスクリーンリーダーで、Firefox上に表示されるものを音声・点字化している。