ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は6月22日、働く場所・環境における従業員の体験が企業価値や業績にもたらす影響を分析したレポート「ヒューマン・エクスペリエンスがもたらすワークプレイス」を発表した。
イノベイティブなスペースの設置、アジア太平洋で最低値
調査対象は、世界12カ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、オランダ、南アフリカ、スペイン、英国、米国)の40社に勤務する従業員7,000人(従業員数100人以上の企業で働く18歳から65歳)以上。
日本の働く場所・環境の現状をみると、一般的なワークスペースの種類はオープンプランオフィスで、世界平均45人の1.5倍となる平均68人で共有しており、最もスペース効率が高かった。
また10人に1人がデスクやコンピューターを共有するフリーアドレスで働いていたほか、同じデスクで過ごす時間は75%と世界平均66%より長く、オフィスにいる間の流動性が低いことも明らかになった。
オフィスに設置されているスペースについて調べたところ、コミュニティスペースが設置されている割合は日本35%、世界56%、共同作業用スペースは日本26%、世界50%、クリエイティブスペースは日本24%、世界32%、有名小売店舗スペースは日本23%、世界28%、ウェルビーイング・健康促進専用スペースは日本20%、世界25%と、日本は従業員にイノベイティブなスペースを提供している割合が少なく、アジア太平洋諸国の中で最低値であることがわかった。
同レポートは日本のオフィス環境について、「クリエイティブな環境やフレキシブルさに欠けるオフィス運営や制度が従業員の体験に悪影響を及ぼす傾向があり、結果、生産性の向上を抑制しやすい環境である」と分析している。