日本のスマートフォン市場で年々、シェアを伸ばしているのが中国ファーウェイだ。そのファーウェイがPC市場へと本格的に進出しつつある。5月には発表した新「MateBook」シリーズでは、ノートPCも登場した。なぜファーウェイは縮小を続けるPC市場に乗り込もうとしているのだろうか。

5月にベルリンでMateBook Xを発表した、コンシューマー事業部門CEOのリチャード・ユー氏(ファーウェイが公開したYouTube動画より)

スマホで培った技術でPCを進化させる

まずはノートPCを発売するまでのファーウェイを駆け足で振り返ってみよう。もともと通信機器メーカーとして携帯の基地局や固定回線のようなインフラに高いシェアを持つファーウェイは、後発ながらデバイス事業にも参入。ここ数年で急激に出荷台数を伸ばしてきた。

その背景には莫大な研究開発への投資がある。金属加工技術やデザイン、ユーザー体験などを急速に向上させてきた。リアのデュアルカメラとインカメラのすべてをライカと共同開発したスマートフォン「HUAWEI P10/P10 Plus」は、6月に日本でも発売したばかりだ。

最新スマートフォン「HUAWEI P10」シリーズを日本でも発売した

こうしてファーウェイはスマホ市場で先行する他メーカーを「ごぼう抜き」し、世界で2強を占めるサムスンとアップルに続く3位にまで迫ってきた。ブランド価値も高まっており、米フォーブスが発表したブランドランキングでは世界88位にランクインするなど、快進撃は続いている。

そのファーウェイは2016年2月に、タブレット型2-in-1のWindows PC「MateBook」を発表してPC市場に参入した。発表の場に世界最大のモバイル展示会であるMobile World Congressを選んだことも、大きな注目を浴びた。

そして2017年5月には第2世代モデルを発表。クラムシェル型のモバイルノートPCとしては13インチの「MateBook X」、従来のMateBookの強化版として「MateBook E」、そしてメインストリームの15.6インチ型ノートPCとして「MateBook D」の3機種を披露した。

アップルのMacBookに対抗する薄型モバイルノート「MateBook X」

従来の2-in-1モデルを強化した「MateBook E」

15.6インチの売れ筋を狙った「MateBook D」