ジャンクフードとうつ病の関係性とは

ハンバーガーやピザ、カップラーメンにスナック菓子……。こうしたいわゆるジャンクフードが好きな人は多い。そこまで好きではない人でも、「なんか今日は無性にピザが食べたい……」といった衝動に駆られた経験が一度や二度はあるのではないだろうか。

一方で、その中毒性の高さや摂取栄養素の少なさなどが以前から問題視されていた。このほど発表された研究も、ジャンクフードとの付き合い方を考えさせられるものだった。

海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「ジャンクフードとうつ病」に関するコラムが掲載されたので本稿で紹介しよう。

ジャンクフードで毛細血管が傷つけられると、うつ病のリスクが最高で58%高まることがオランダの研究者グループによって明らかになった。ジャンクフードから摂取できる栄養素は少ないため、高血圧や糖尿病を招きやすく、結果として毛細血管がダメージを受ける。血管は身体中に酸素を送っているが、その機能に不具合が起きると、臓器に十分酸素が行きとどかなくなる。

脳は特に脆弱で、酸素が不足すると化学物質のレベルが狂うことがあると、マーストリヒト大学の専門家グループは語る。このような神経伝達物質のバランスの乱れがうつ病の原因になると多くの研究者が考えている。

「(毛細血管に)何か異常が起きると、組織もおかしくなるのです。毛細血管の血液循環にとって高血圧も糖尿病も弊害になるということに注意してください」と論文の筆頭著者であるミランダ・シュラム氏は語る。

研究者グループは今回、うつ病と毛細血管の弊害の関連性を調べるため、4万3,600人を超える成人が参加した712の研究データを分析。参加者は全員40歳以上で、そのうち9,203人がうつ病と診断されていた。

分析の結果、血液に障害の兆候が見られた場合のうつ病発症リスクは、兆候が見られない人と比べて58%も高かったとのこと。また、毛細血管の不具合によって小さな脳卒中を患った人は、そうでない人と比べてうつ病リスクが30%高かったことも明らかになった。

ただし、この研究は「毛細血管の障害がうつ病の原因だということの証明にはならない」とする専門家もいる。ニューヨーク州精神医学研究所のブレット・ラザフォード医師も「健康な脳の老化と精神神経疾患との関係性は、双方向で複雑なものです」と語る。すなわち、毛細血管の障害がうつ病の原因かもしれないし、うつ病によって不健康な血管になったのかもしれないというわけだ。

それでも、ジャンクフードの食べ過ぎがよくないのは、摂取しているカロリーや塩分、脂質といった面から火を見るよりも明らかと言える。たまの楽しみぐらいでいただく分にはいいが、日ごろから摂取するのは控えた方がよいだろう。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。