「アベック」という言葉には強烈な昭和臭が漂うが、熊本県民にとってはいまだにこの言葉は死語ではない。なぜなら同県には、年号を跨(また)ごうとも県民の心をつかんで離さない、ソウルフード「アベックラーメン」が存在するからである。
愛されて57年
アベックラーメンが、熊本市内に本社を構える五木食品から発売されたのは昭和35(1960)年のこと。以来57年間、製法からスープの味にいたるまで全く変わっていないため、口にするとその昔にこのラーメンを食べた思い出が蘇るのか、「ソウルフード」「青春の味」として愛し続けている県民が多いのだという。
「誕生以来、味を変える必要がなかったということは、それだけ完成された味だったということ。当時の開発技術の高さを感じさせられます」と話すのは、同社開発本部の原田さん。香辛料を効かせたあっさり塩味のスープはどこか懐かしくほっとする味わいで、飽きがこず何度でも食べたくなるということに大いに納得できる。
アベックにとってもうれしい「2人前入り」
それにしても気になるのはそのネーミング。「アベック」と冠しているからには、パートナーとふたりで食べることを推奨しているのだろうと思いきや、命名理由は「1袋に2人前入っているから」。実に単純明快である。
また、作り方も実に簡単。沸騰したお湯に麺を入れて強火で3分ゆでたらスープを加え、あとはひと吹きさせるだけ。さらに、固めにゆでた麺を中華鍋で炒めた具材に加え、最後にお湯にスープをプラスすればチャンポンにもなるし、お湯をカットすれば焼きそばに、スープを冷ませば冷やしラーメンにもなる。
「乾麺の即席麺は、『調理が面倒くさそう』と感じる方が多いようですが、実際は鍋ひとつしか使わないし、インスタントラーメンと同じように簡単に作れます。お好きな具材と一緒に、ぜひ若い方に食べていただきたいですね」と、熱い想いを明かしてくれた原田さんによると、アベックラーメンは地元スーパーの他、オンラインショップでも購入できる。
ラーメンで熊本復興も
さらに同社では、Amazon年間販売ランキングにおいて2015、2016の2年連続2位を達成した「熊本もっこすラーメン」、黒マー油と別添の辛味油のWオイルが決め手の辛旨スープを堪能できる「赤辛ラーメン」もイチオシなんだとか。
ちなみに、これら3つのラーメンに同社のロングセラー商品のひとつである「山芋入りそば」をカウントした4つの商品は、6月末より熊本市イメージキャラクターの「ひごまる」イラストをプリントした、熊本城復興支援のための特別バージョンを販売する。
売り上げ1個につき1円が熊本市に寄付され、熊本城復興支援に充てられるとのことなので、出身者ならずとも、熊本を応援したい方はぜひこの機会にいろんな味をお試しあれ!