生理通の原因と対策法
普段は元気な女性でも、生理になると生理痛がつらかったり、体が冷えたり、貧血気味になってふらついたりと、何かと不調を感じるものです。少しでも体調を改善して快適に過ごすために、生理中の食生活を見直してみませんか?
生理中に多い悩み別に、積極的に摂りたい食品と避けた方がいい食品を紹介します。
生理痛がつらい
生理中の一番の悩みといえば生理痛でしょう。生理痛の主な原因は、生理中に「プロスタグランジン」と呼ばれる物質が過剰に分泌されることにあります。プロスタグランジンは子宮を収縮させ、要らなくなった子宮内膜を経血として外に排出しやすくする役割を持っています。プロスタグランジンの分泌が多く、子宮が強く収縮すると痛みが生じます。
ですので生理痛がひどい人は、子宮収縮を抑える働きを持つマグネシウムを含む食品を摂るといいでしょう。マグネシウムは、アーモンドやゴマなどのナッツ類、アオサ、昆布などの海草類、きなこや豆腐などの大豆製品に豊富に含まれています。
また、生理中には血流が滞る「うっ血」という状態になりやすいのですが、そうなると痛みが起こりやすくなります。血流をよくする作用を持つEPAやDHAを含んだサバ、イワシ、サンマなどの青魚もおすすめの食材です。
逆にファストフードやスナック菓子などの脂分の多い食べ物は、血液をドロドロにしてうっ血の原因になるので、生理中にはできる限り控えましょう。
イライラ、情緒不安定
排卵後から生理にかけて、女性の体内ではプロゲステロン(黄体ホルモン)が急激に増え、ホルモンバランスが急激に変化するので、イライラする、気分が落ち込む、情緒不安定になるといった精神的な症状が出ることがあります。生理前に起こるさまざまな心身の不調のことをPMS(月経前症候群)と言います。
生理前や生理中は、そうした心身の不調によるストレスから、甘いものに手が伸びがちです。しかし、糖分を多く含む食べ物を摂りすぎると血糖値が変動し、余計にイライラしやすくなります。また、カフェインの摂りすぎにも注意。摂りすぎると体を冷やす上に興奮状態を招くため、精神的に不安定になることがあります。
PMSや生理中の精神的な不調は、ホルモンバランスを整えることで緩和される可能性があります。そのために意識して摂りたいのは、豆腐や豆乳、納豆、きなこなどの大豆製品に含まれる大豆イソフラボン。大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きを持っていて、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。生理前や生理中だけ食べるというより、普段から毎日の食事に取り入れて摂取を習慣づけたいですね。
体が冷える
生理中は基礎体温でいう「低温期」にあたり、普段より体が冷えやすくなっています。さらに生理後半には骨盤の周辺を中心にうっ血するので、特に冷え性で普段から体が冷えている人は余計に冷えを感じやすくなります。
冷え改善のために摂りたいのは、体を温める作用を持つショウガやネギ、ゴボウやニンジンなどです。ハーブティーのようなカフェインを含まない温かい飲み物もいいでしょう。一方、コーヒーや紅茶などのカフェインを含む飲み物は、血管を収縮させて体を冷やす作用があるので少し控えめに。冷たい飲み物やかき氷、アイスクリームなども控えた方がいいでしょう。
貧血でフラフラ
生理中の経血量が多い人は、鉄分が不足して鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。鉄欠乏性貧血になると、めまい、ふらつき、動悸、息切れ、疲れやすい、顔色が悪いなどといった症状が出ることがあります。鉄分は、血液中のヘモグロビンという成分の材料。ヘモグロビンは全身に酸素を届ける役割を担っています。よって鉄分が不足するとヘモグロビンも不足し、全身の酸素循環がやや少なくなった状態とも言えます。
貧血の症状を防ぐため、生理中はいつも以上にバランスのよい食生活を心がけ、レバーやひじき、ほうれん草、小松菜など、鉄分が豊富に含まれる食材を無理のない程度に食事に取り入れましょう。さらに、鉄分の吸収を促進する作用を持つレモンやイチゴ、ブロッコリーなど、ビタミンCを含む食材を一緒に摂るとなおいいでしょう。
以上、生理中や生理前の不調を改善することが期待できる食品や栄養素をご紹介しました。普段の食事から必要な栄養素をバランスよく摂取するのが理想ですが、ときには仕事が忙しくてバランスのとれた食事が用意できないこともあるでしょう。そんなときは、サプリメントを活用する方法もあります。
食事で栄養素を補う場合は、食べられる量が限られるので摂りすぎることはまずありませんが、サプリメントで補う場合は摂りすぎに注意。サプリメントの製品パッケージに書かれた目安の量を超えないようにしてください。
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記事監修: 星合明 医師
星合勝どきクリニック 院長
1986年獨協医科大学・医学部医学科卒業。1992年獨協医科大学大学院卒業。同年獨協医科大学付属病院産婦人科臨床助手。1994年より獨協医科大学産婦人科教室非常勤講師。その後、文京区星合産婦人科病院副院長を経て2001年2月より、東京都中央区勝どきにて「星合勝どきクリニック」を開設、医長を務める。