経済協力開発機構(OECD)は6月13日、「OECD雇用アウトルック2017年版(OECD Employment Outlook 2017)」を発表した。それによると、労働市場は引き続き改善しているものの、中程度の技能を要する雇用が占める割合は低下しており、それにより不平等が拡大する懸念があると指摘している。

労働市場の回復が非常に不均等

OECD加盟国の雇用状況をみると、15歳から74歳の人口に占める雇用者の割合は3年連続で上昇している。雇用率は2018年末までに61.5%に達する見込みで、2007年第4四半期のピーク時の60.9%を上回るという。労働市場については、少なくとも2018年末までは引き続き改善し、雇用者数は2007年末より約4,700万人増加すると予想している。

失業者は2010年第1四半期のピーク時より1,200万人減少し、若者の失業者も380万人まで減少。平均失業率は2017年第1四半期末では6.1%(失業者数3,800万人)だが、2018年末には5.7%(同3,600万人)に改善すると見込んでいる。

一方、OECDは重大な問題として「労働市場の回復が非常に不均等」であることを指摘。労働力の需要が高技能の職業と低技能の職業に集中し、中程度の技能の仕事が失われていることにより、雇用の二極化が拡大。1995年~2015年に、中程度の技能を要する雇用が占める割合は、OECD地域全体で9.5ポイント下落したのに対し、高技能及び低技能を要する職業の割合は、それぞれ7.6ポイント、1.9ポイント上昇している。

OECDはこのような問題に対処するために、各国政府は労働者に技能向上・再訓練の機会を与えるとともに、就労形態の変化に対応した社会保障・労働市場政策を講じるべきだと指摘している。