年々、その重要度が増すストレージ。今回もさまざまなメーカーからさまざまな新製品が発表されていた。2016年は新コントローラとNVMe対応が目立っていたが、2017年でもエンタープライズ向けを中心として、NVMe対応製品が増えたという印象だ。ブースに展示された製品を基に最新のトレンドをチェックしたい。

CrucialがBX300シリーズの投入を予告

Micronは、Crucialブランドで、新型の2.5インチSerial ATA 3.0接続SSD「BX300」を予告した。同社製3D TLC NANDの採用を明らかにしているが、そのほか詳細なスペックについては追って正式に発表される見込みだ。

BX300のデザインは、従来のBX200、BX100を踏襲

BXシリーズは、メインストリーム向けモデルであるMXシリーズの下位グレードとなる製品シリーズで、価格を抑えてSSD導入や大容量モデルへのアップグレードへのハードルを下げた製品という位置付けだ。どちらかというとエントリーユーザーをターゲットとしている。

そこでBX300ではインストールマニュアルを同梱。そこに記載されたURLをスマートフォンやタブレット開けば、ビデオとともにPCへのSSD搭載をステップ・バイ・ステップで行える仕組みを整えた。これはBX300だけでなく、既存製品のMX300などにも拡大される予定。また、国内販売時には日本語ローカライズされる予定だ。

初めてSSDの換装を行う形でもかんたんに行えるよう、サイト上に解説ビデオを、そして製品にサイトのURLを記したパンフレットを添える

Plextorは次世代モデル「M9Pe」を発表

Plextorは、会期中にイベントを開催し、そこで新製品を予告した。予告された製品はPCI Express Gen3 x4接続でNVMe対応SSDの「M9Pe」シリーズだ。

次期ハイエンドモデル「M9Pe」

M9Peは、先日発表済みのM8Seシリーズの上位、現行製品のM8Peシリーズの後継で、フォームファクタとして、M.2およびPCI Expressカード型(HHHL型)が用意される予定だ。

外観デザインはM8Seに準じており、M.2とHHHLのいずれにも溝の深い大型のヒートシンクを採用する。同社によれば、この新型ヒートシンクによって冷却効率をさらに高め、サーマルスロットリングの発生を抑え、安定した高速転送が可能だという。

発表済みの「M8Se」シリーズとヒートシンク形状は同じで色が青→赤となる

現行ハイエンドのM8PeとM9Peと同形状のM8Seを並べたところ。新型ヒートシンクは冷却性能をアップ

スペック面での特徴は、東芝製第3世代3D TLC NAND(BiCS3)の64層品を採用している点。シーケンシャルリードは最大3.1GB/sになるとのこと。また、HHHL型モデルではRGB LEDが採用されている。

M9Peの基板。Marvell製88SS1093コントローラにNanyaのキャッシュを搭載。東芝製BiCS3は刻印がよくわからない

2.5インチSerial ATA 3.0接続のSSDでは「M8V」が展示されていた。M8Vは現行のM7Vの後継モデル。こちらも64層3D TLC NANDが採用される。容量ラインナップは128/256/512GBで、コントローラはSMI製「SMI2258」。

128GBモデルは256MBの、256/512GBモデルは512MBのLPDDR3キャッシュを搭載し、シーケンシャルリードは共通で最大550MB/s、同ライトは容量順に370MB/s、430MB/s、500MB/s。

Serial ATA 3.0接続の64層3D TLC NAND搭載モデルの「M8V」

各分野に様々な製品を投入するADATA

ADATAでは、ハイエンド向けのXPGカテゴリの新製品「SX6000NP」を展示していた。NVMe 1.2に対応したM.2 SSDで、128/256/512GBおよび1TBモデルが投入予定だ。

特徴的なのがRealtek製コントローラ「RTS5760」を採用し、インタフェースをあえてPCI Express Gen3 x2接続にとどめた点。帯域がx4接続の半分となり、転送速度もシーケンシャルリード/ライトで最大850MB/s程度となる見込みだが、Serial ATA 3.0接続のSSDよりは高速で、コスト・性能両面でSerial ATA 3.0より上、x4よりも下というゾーンを狙う。

PCI Express Gen3 x2接続でコストと性能のバランスをとる「SX6000NP」

一方で「SX9000NPは」、Marvell製コントローラ「88SS1093」を採用し、PCI Express Gen3 x4接続、NVMe 1.1に対応した速度重視のM.2 SSDだ。NANDチップは2D世代のMLC NAND仕様。転送速度はシーケンシャルリード/ライトで最大2.8GB/s、最大1.5GB/s。容量ラインナップは256/512GBおよび1TB。

「SX9000NP」はMarvell+MLC NANDという鉄板の組み合わせ

XPGカテゴリでもゲームに特化した製品が「GAMMIX S10」だ。こちらは3D TLC NANDを採用し、128/256/512GBおよび1TBのラインナップ。転送速度的にはシーケンシャルリード/ライトが最大1.8GB/s、最大850MB/sと、SX9000NPに及ばないが、ヒートシンクを装着しており、速度を抑えたことでサーマルスロットリングの発生などの不安定要素を排除しているとのこと。

特出した速さはないが、安定して高速転送を実現するゲーム用SSDの「GAMMIX S10」

もちろんゲームにおいてもストレージの転送速度は重要だが、そこまでクリティカルではなく、むしろプレイ中に遅くなるほうが問題であるという観点から、こうした製品スペックとなっていると言う。

エンタープライズ向けの「IM2P33E8」も特徴的な製品だ。PCI Express Gen3 x4接続でNVMe 1.2に対応したM.2 SSDで、コントローラにSMI製「SM2262G」を、NANDチップは3D NAND採用している。

SMI製チップとTLC NANDの組み合わせでエンタープライズ向けの「IM2P33E8」

この分野で定評あるMarvell製コントローラ+2D MLC NANDという組み合わせではないが、SMI製コントローラも安定性がよく、ADATAの製造工場が台湾にあることと合わせて供給の面でもよいとのこと。転送速度はシーケンシャルリード/ライトで公称最大3GB/s、1.5GB/s。ただし、デモ機では3.25GB/s、1.85GB/s程度を叩き出していた。

Kingstonがエンタープライズ向け製品の超高速SSDを展示

これもエンタープライズ(データセンター)向けとなるが、KingstonがHHHL型およびU.2型SSDを展示していた。「DCP1000 PCIe AIC SSD」がHHHL型で、PCI Express Gen3 x8接続。もちろんNVMeに対応しており、転送速度は最大7GB/s、1250000IOPSを叩き出すと言う。容量も最大8TBとコンシューマー向けとは次元の異なるスペック。データセンター向け製品ということで大型ヒートシンクと、上辺に並ぶデータを保護するためと見られる大型キャパシタが特徴的だ。

PCI Express Gen3 x8接続の「DCP1000 PCIe AIC SSD」。転送速度は最大7GB/s

U.2型の製品は「DCU1000 PCIe U.2 SSD」。PCI Express Gen3 x4接続となるがデュアルポートに対応している。転送速度は最大3.6GB/s、850000IOPS。容量は最大4TBとされている。

U.2型の「DCU1000 PCIe U.2 SSD」。HHHL型のおよそ半分の性能

直前に発表済みの「KC1000」はプロフェッショナル向けのNVMe対応M.2 SSD