台湾の「COMPUTEX TAIPEI 2017」に行ってきた記事はすでに掲載されているが、今年はそれに加えて香港~深圳(中国)~マカオにも行ってみた。各国のデジタル、モバイル事情はどうなってるのかをレポートしてみたい。その1は今回の旅行で使ったSIMについて。

越境SIMで楽々モバイル環境

毎年、台湾に行くと現地のプリペイドSIMを買ってiPhoneに挿して使うのが当たり前になってきていたが、気になるのはそれを買うのにかかる時間。人が少ないときはいいが、着便が重なってしまうとSIMを買うにも行列ができてしまい、入国手続きと合わせて空港に2時間以上いることもあるほど。しかも今年は実質4カ国も回るわけで、そのたびにSIMを買う手続きをするのは煩わしい……。

そう思っていたとき、旅に同行してくれた一人がAmazonで香港用のSIMを買ったという。見てみると確かに現地のSIMを売っている。その中で筆者が目をつけたのはタイのAIS社が売っているという旅行用の14カ国対応SIM「SIM2Fly」。使用開始から8日間有効、4G対応で3GBまでのデータ通信が可能。ここに今回訪れる香港、マカオ、台湾が含まれていたので、これだ!と思ってすぐさま購入。

タイ AIS社の14カ国対応SIM。今回訪れた国以外にもシンガポール、オーストラリア、ネパール、ミャンマー、日本(!)でも繋がる

飛行機の中でSIMを取り出して交換。最初からカットが入っていて、標準サイズ、micro SIM、nano SIMと自分に合うサイズにして挿入。あとは「通信オプション」でローミングを「オン」にする。海外ではローミングはオフにする! と、その手の解説記事では口うるさく言われてるけど、このSIMは現地の通信会社に対してローミングで接続するタイプなので「オン」にしないと繋がらないので注意しよう。

自分が使うサイズに合わせてカットできるようになっている。行くときはピンを持っていくのを忘れずに!(自分は何度も忘れた)。あと元々入っているSIMを絶対に失くさないように

[設定]-[モバイルデータ通信]の「通信のオプション」でローミングをオンにすることで各国で利用可能に。繋がらないときはAPNの設定をする必要があるかもしれない。今回はそれらの設定することなく繋がった

実際の使い勝手はというと、香港に着いてすぐのときは繋がりにくかったが、安定すると全く問題なし。マカオ、台湾でも自動的に現地のキャリアを受信できるようになって4Gで快適なモバイル環境が手に入った。通信が不安定なときも少し待ってみるといいかもしれない。

マカオはCTM、台湾は台灣大哥大(台湾モバイル)。香港は撮り忘れた。何もしなくてもその国に入ると自動的に切り替わるのは本当に便利だ

フェリーの上でGPRSという表示が出た。これはGSM(2G)通信。今回の旅行では他にもeという表示(edge)も見ることができた。安定しないときは少し待ってみよう

さて今回失敗したのは、深圳で使うSIMの選定だった。深圳は中国本土なのでグレート・ファイアウォール、俗に言う「金盾」が効いていて、FacebookやGoogleなど普段使っているサービスがことごとく利用できない。それを回避できるのが香港で売ってる「跨境王」というSIM。多くの旅行者はこれを使うことで、深圳でも金盾を超えて従来のサービスを利用できるのだそうな。今回、行く前の下調べでこれだけは現地(香港)で買おうと思っていたのに、すっかり忘れていて気が付いたのは国境を越えてから。あちらで買ったSIMは当然、金盾を越えられず、Google Mapsなどが利用不可になってしまった。ポケモン Goはできるのに、Google Mapsで行きたいお店が表示できないのは不便。次回は間違えないように気をつけなければ。

香港、深圳で利用できる「跨境王」。泊まっていたホテルのすぐ近くに売ってたのに買うのを忘れてた。残念

通信環境の確保は見知らぬ土地であるほど必須だ。一番大事なのはやはり地図で、自分の位置が表示されるってことがどれだけ大切かがよーくわかる。今回はマカオで「エッグタルトが食べたい!」けれどお店がわからないというときに検索した先が大当たりで、現地でも有名なお店だったらしく行列。今まで食べた一番美味しいエッグタルトを満喫できた。もちろん他の国でも検索できる環境さえあれば、現地の美味しいものを検索したり、いろいろな情報を手に入れることができる。

マカオの有名店「Margaret's Café e Nata」のエッグタルトが買えたのもGoogle Mapsのおかげ。いやー、美味しかった

スマホを持っている人は、海外旅行前にぜひSIMフリーにして現地SIMを使ってみよう。日本にいるのとほぼ同じようにスマホが使えるのはとにかく便利。ぜひとも経験してほしい。