西武鉄道は13日、新型特急車両の基本デザインについて発表した。外観・内装ともに「いままでに見たことのない新しい車両」をめざし、建築家・妹島和世氏監修の下、同社内で選抜されたプロジェクトチームメンバーを中心に取り組んでいるという。新型特急車両の導入車両数は計56両(8両編成×7編成)、2018年度末の運行開始を予定している。
同社の新型特急車両については昨年3月にイメージイラストが公開され、日立製作所のアルミ製標準型車両「A-train」コンセプトにより製作されると発表された。今回は車両外観に加え、車内の客室やエントランスなどのイメージ画像も公開された。
デザインコンセプトは「都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込む特急」「みんながくつろげるリビングのような特急」「新しい価値を創造し、ただの移動手段ではなく、目的地となる特急」の3つ。車体前面に国内初という大きな三次元の曲面ガラスを採用し、やわらかな曲面が編成全体へと連続するように、ゆるいカーブの車体断面とした。都市や自然の風景に溶け込むデザインを実現するため、アルミ素材の車体に塗装を施し、「あたらしい風景」を作り出せるカラーデザインとすべく色合いも工夫している。
客室窓は等間隔で連続していく配置とし、大きさにもこだわり、リビングのような心地良い居住空間をめざした。客室内は明るく白い壁のシンプルなデザインで、カーテンや床面のじゅうたん、シートのテキスタイルも統一感を持たせるという。シートはあたたかな黄色を基調とした配色で、体をやさしく包み込むソファのようなデザインに。各座席に電源コンセントも設置する。ボールト(曲面)天井からの間接照明によるやわらかな光あふれる車内空間とし、荷棚に補助灯を追加することで読書などに適した照度を確保する。
エントランスやトイレも黄色を基調とした配色に。エントランスは落ち着きと安心感を与えるデザインとし、一部の壁に曲面デザインを採用する。トイレは1・5号車に設置され、1号車には多目的トイレ・男性用トイレ・洗面所、5号車には西武鉄道初となる女性専用トイレをはじめ、パウダールーム・共用トイレ・男性トイレを配置するという。5号車には「AED」も装備される。全車両で「SEIBU FREE Wi-Fi」を利用でき、英文表示に対応した車内LCD画面表示器や車内設備案内板を設置する。
新型特急車両の基本デザイン監修は建築家の妹島和世氏、座席シートや床面などのテキスタイルはデザイナーの安東陽子氏、天井照明をはじめとする車内の照明デザインは照明家の豊久将三氏が担当。3氏がタッグを組み、いままでにないデザインの「西武鉄道の未来を担う新たなフラッグシップトレイン」の開発に取り組む。具体的な運行開始日・運行経路については改めて発表するとのこと。