6月8日、Microsoftは紆余曲折を経て、Windows 10 Insider Preview ビルド16215およびWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド15222を、Windows Insider ProgramのFastリングを選択しているユーザーに配布した。前回のビルド16119のリリースから3週間以上も経っている。
ここまで間があいたのは、6月1日にMicrosoftが誤ってテストビルドをリリースしてしまったからだ。ビルド16203 (モバイル版はビルド15220) として配布されたのは開発ブランチから取り出されたもので、いくつかのトラブルが発生していたという。筆者のところは残念(幸い?)ながら、PC版・モバイル版いずれも降ってこなかったが、モバイル版は再起動を繰り返し、最終的にはハードウェアリセットを行う「Windows Device Recovery Tool」を利用しなければならなかったそうだ。
ビルド15222の新機能で、筆者が注目するポイントをいくつか紹介したい。まずは、タイプバンク製の新日本語フォント「UDデジタル教科書体」だ。Microsoftは視力低下や失読症の方々にも配慮したデザインを施し、手書き風の印象を利用者に与えると説明している。百聞は一見にしかずということで、同フォントを使ったサンプルを作ってみたのでご覧いただきたい。
日本語フォントが充実することは諸手を挙げて賛成するが、必要なのはシステムフォントレベルの改善だ。高解像度ディスプレイにおいても、Windows 10の高DPI対応が進み、以前に比べれば読みやすくなったものの、macOSに大きく離されている現状は否定できない。Windows 7ではメイリオ、Windows 8.xではメイリオUI、Windows 10では遊ゴシックUIと対処を重ねてきたが、Windows 10 Fall Creators Updateでも大胆な改革を期待するのは酷なのだろうか。
デザイン面では発表済みの「Fluent Design System」をシステムの一部に適用している。スタートメニューとアクションセンターにFluent Design Systemを盛り込み、透明機能が有効な場合は新しいアクリルデザインが使用されるという。正直なところ、現時点で見た目の違いはわかるものの、大きな違いとまでは言い難い。Fluent Design Systemは長期的なプロジェクトとして、現時点で一部のアプリケーションに適用し、Windows 10 Fall Creators Updateで完了するものではない。今後の動向を見守るとしたい。
もう一つ取り上げたいのが、Hyper-Vの仮想バッテリサポートである。本来であれば実機が必要な検証に仮想マシンを使うことで、個体差がなくなるなど興味深い機能となるはずだが、結果としては試すことができなかった。New-VMコマンドレットは問題なく動作するものの、「仮想マシン接続 (VmConnect.exe)」がPrereleaseオプションで作成した仮想マシンに接続できないのである。他にも接続できない仮想マシンや接続できても仮想ネットワークが使えないケースが散見されるため、筆者の環境では仮想ネットワークの再設定が必要なようだ。
駆け足でビルド15222の変更点を追いかけてみたが、現時点では未来を感じさせる機能の実装には至っていない。Windows 10 Fall Creators Updateのリリース予定日まで、あと3カ月もあるため筆者が躁急すぎるのだろう。だが、Windows Insider Programに参加しているワクワク感を今回も早く味わいたいので、今後もWindows開発チームの頑張りに期待したい。
阿久津良和(Cactus)