梅雨はカビが繁殖しやすいというイメージを持っている人も多いだろう。確かにその通りなのだが、では、なぜカビが繁殖しやすいのか理解しているだろうか。もちろん、「じめっとしているから」だけではないのだ。そこで今回、カビが繁殖しやすい条件や場所、そして、カビが生える前にできることを、アース製薬にうかがった。

カビが生えやすい場所には3つの共通点がある(写真はイメージ)

カビの繁殖は1週間程度から

一口にカビと言ってもその数は多く、形状や繁殖条件なども異なる。その中でも、溶室(壁、天井、床など)でよく見かけるカビ類と言えば、黒い点がポツポツと表れる「黒カビ」と、ピンクがかったヌメヌメの「ピンクヌメリ」がほとんどだ。

お風呂などで繁殖する黒カビは、クラドスポリウム属の菌が代表的な原因菌で、2週間から1カ月程度で目に見えるカビとして認識できるようになる。もうひとつのピンクヌメリは水周りに生えやすく、ロドトルラ属やメチロバクテリウム属の菌が代表的な原因菌となる。黒カビよりも早く、1週間程度で繁殖する。

ポツポツと黒い点になっているのが「黒カビ」(画像クリックで元画像表示)

排水口の周りには「ピンクヌメリ」ができやすい(画像クリックで元画像表示)

黒カビとピンクヌメリの繁殖条件は共通しており、「湿度(70%以上)」「温度(20~30℃)」「栄養源(皮脂汚れ)」の3つがそろうと繁殖を続け、どんどんと広がって深く根付いていく。特に梅雨の時期は「湿度(70%以上)」「温度(20~30℃)」という環境が整いやすいため、自然とカビが繁殖しやすい環境となってしまう。

空気中には至る所にカビが浮遊しているため、カビの量そのものを減らすことは困難。できるだけ、この三大要素を軽減させることが、カビを繁殖させない鉄則となる。

皮脂汚れ=水が残るところ、をなくす

では実際、そうしたカビはどんなところで繁殖しやすいのだろうか。アース製薬が実施した調査(2014年12月実施、n=2万5,422人)によると、自宅でカビが気になっている・困っている場所は、1位「浴室」(54.1%)、2位「直近1年以内は困っていない」(37.7%)、3位「浴室脱衣所・洗面所」(19.2%)、4位「キッチン」(17.3%)、5位「トイレ」(14.9%)という結果になった。

どの場所にしても、「湿度(70%以上)」「温度(20~30℃)」「栄養源(皮脂汚れ)」という三大要因を排除することが大事になるため、例えば風呂場で換気扇を回しっぱなしにすることもひとつの対策となる。とは言え、湿度と温度はその季節や場所で避けようがない条件だ。できる防カビ対策としては、栄養源となる皮脂汚れを取り除くことと言えるだろう。

壁面に飛び散った泡をそのままにしていると、カビが繁殖する原因に(写真はイメージ)

皮脂汚れが溜まりやすいところというと、ガラスや壁面の淵や排水口、蛇口周りや浴室の洗面具&おもちゃなど。これらに共通しているのは「水が残りやすいところ」という点だ。髪や身体を洗っている時に、泡が飛び散ることがあるだろうが、その泡をそのまま放置していると、泡の中に含まれている皮脂汚れを栄養源としてカビが繁殖しやすくなる。防カビ対策では1週間に1度程度、水が残りやすい箇所を集中的に掃除することが大切だ。

週に1度とは言え、忙しい毎日を過ごしている掃除をするのも億劫(おっくう)になるところ。しかも、きれいに掃除したつもりでも、見えない皮脂汚れはしっかり残っている。市販されている掃除アイテムには、くん煙で浴室内に広がる防カビ剤や、排水口に置くだけの防カビ剤、また、ピンポイントで除菌するスプレータイプの防カビ剤も展開されているので、時短アイテムとしてそうしたものを活用してみるのもいいだろう。