米Apple社は、開発者向け会議「WWDC 2017」を開催。初日の基調講演では、現在アップルが展開している4つの製品群に載る新OSに関する情報を公開し、既存製品のアップデートや新カテゴリの製品も発表されるなど、かなり盛りだくさんな内容となった。一方で、開発者向けのメッセージ色は薄まっている。一体誰をターゲットにした基調講演だったのだろうか。

15年ぶりのお膝元開催

WWDC 2017は2002年以来15年ぶりに、アップル本社があるカリフォルニア州・サンノゼのコンベンションセンターで開催された。基調講演の壇上にあらわれたティム・クックCEOによれば、世界中から超高倍率のチケット争奪戦を勝ち抜いたり、アップルから招待された総勢5,300人のデベロッパーが詰めかけ、年齢も下はオーストラリアから来た10歳、上は日本から来た82歳と、幅広い層が参加しているという。基調講演には参加者のほとんどに加え、アップルから招待された世界中のプレス関係者も押し寄せ、相当に広い会場を満席にして行われた。

すっかりアップルの顔となったティム・クックCEOがキーノートスピーチを担当

右の女性は日本から参加した、今回最高齢者の若宮正子さん。なんと今年に入ってからSwiftを学びはじめ、わずか数カ月でゲームをリリースしたという

例年であれば、デベロッパー向けに業績などの数字が大量に並べ立てられるところだが、今回は発表が盛りだくさんということもあってか、数字は控えめ。それでもApp Storeでデベロッパーに支払われた売り上げが累計700億ドル(約7兆円)を突破したことが明らかになった。この1年でその30%(200億ドル)を支払っているとのことで、市場シェアの割に売り上げが高いというiOSの特性がよく表れている。そして今回の基調講演では6つの発表があるとした。

第1の発表はAppleTVのOSであるtvOSだ。tvOSではアプリというかたちでアップル以外のコンテンツサービスが追加できるが、ここにAmazonのPrime Videoが追加されるというのが今回のメイン。これまでAppleTV、Google Chromecast、Amazon FireTVは相互にサービスが利用できない状態が続いていたが、AppleTVがAmazon Prime Videoを取り込めるようになったのは大きな一歩と評価できるだろう。

Amazon Prime Videoがチャンネルに追加。筆者はFireTV StickとAppleTVの両方を使い分けているが、一台に集約できるのは大変うれしい

2つめはwatchOSだ。Apple Watchではさまざまなウォッチフェイスを選べるが、次期「watchOS 4」では、機械学習で最適な情報を表示してくれる「Siriフェイス」など3つのフェイスがあらたに追加される。また「アクティビティ」アプリが強化されるなど、機能追加が行われるようだ。watchOS 4は本日よりデベロッパーリリースが公開され、今秋に正規版が無償で公開される。

「Siri」、万華鏡のような「カレイドスコープ」、そしてウッディ、バズ、ボニーが登場する「トイ・ストーリー」のフェイスが追加される