あきんどスシローは、全国のスシローで6月12日から創業祭を開催する。第1弾は「90円セール」。通常一皿税別100円で販売する寿司を16日までの期間限定で同90円で売り出す。
創業祭は第3弾まであり、内容自体は昨年とほぼ同じ。第1弾の90円セールに続き、6月23日からの第2弾でトロの厚みを通常の倍にした倍とろ(税別100円)を販売、7月7日からの第3弾でまぐろの3貫盛り(税別180円)を提供する。
ひとつ、大きく異なるのは、90円セールが全国のスシローに拡大(東京都内の2店舗を除く)したことだ。昨年は151店舗に絞られていたが、キャンペーン終了後も客足が途絶えず、集客効果が見込めるため、今年も実施する。ちなみに昨年は年度末の9月下旬にも90円セールを行っている。
あきんどスシローの水留浩一社長は「半年に一度ほど、気軽に来店してもらう機会を作りたい。決算はいい数字を残せた。我々は原価率を50%に設定しているが、(好決算を踏まえて)半分はお客さんに返していこうと考えている。その精神に踏み込んでやっていく」と話す。
素材で攻めるスシロー
いかにも、お客様のために! というコメントだが、それはスシローのためでもある。同社の2017年9月期上半期は、売上が前年比8.1%増の768億円、純利益(調整後)は同18.6%の33億円と好調だ。寿司ネタにこだわり、まずはスシロースペックを体感してもらうのが同社の基本戦略。決算結果から見ても、その戦略は正しいものになっていると言えそうだ。
素材へのこだわりは、昨年12月からスタートした「世界の海からいいネタ100円PROJECT」がわかりやすい。素材の産地の選別、加工工程の見直しを行い、1皿100円で提供する取り組みで、これまでにチリ産うに、ニュージーランド産のキングサーモン、アイルランド沖で捕獲し蓄養した黒マグロなどを扱ってきた。6月からは中国の黄海でとれた「黄金のとろ穴子」、7月からは中国・広州で養殖した「本格・うなぎの蒲焼き」を販売する。
スシローの取り組みから見えてくるのは、"うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。"という企業理念を実行する姿だ。理念を実行し、多くの人に体感してもらうために90円キャンペーンがある。王道すぎて拍子抜けかもしれないが、回転寿司のメニューが多様化するなかでの立ち位置はお客の立場としても知っておきたいところだ。全店開催にパワーアップした創業祭。果たしてどれだけのファンを獲得できるだろうか。