近所にある、地下鉄の車両がいっぱいあるあの場所はどんなところだろうか。なにやら電車が出たり入ったりしているけれど、そこでは何をしているのだろうか。そんな疑問に答える車両基地見学会が6月4日に開催された。場所は東京都江東区にある東京メトロ深川車両基地。東西線の拠点となっているこの車両基地に、近隣住民300名が招待された。
通常、車両基地の一般公開は地元住民のみならず多くの人を招待し、東京メトロの魅力を知ってもらおうと取り組む。これに対し、今回の見学会は近隣住民を招待することで、車両基地で行われる取組みを楽しみながら知ってもらうことを目的としている。
今回の見学会の開催にあたり、江東区南陽小学校・枝川小学校の児童とその保護者に加え、塩浜・潮見・枝川の各地域の町会「エダージオ町会」に声をかけた。東京メトロの広報担当者によると、これは「街の発展を盛り上げるため」であり、「ここにあるでっかい建物が何をやっているか知ってもらうため」に見学会を実施することになったという。
10年ぶりに公開された深川車両基地、そこで見たのは…
深川車両基地が公開される機会はさほど多くない。前回の一般公開は10年前、東西線で活躍した車両5000系とのお別れを記念して行われたとのことだ。
見学会ではまず、新ピットエリアを見学。2017年5月に竣工した新しいピットは、車両の整備を行うところであり、床下の設備を直接整備するため、人が入れるように窪みになっている。このピットは東京メトロ初の冷暖房完備のピットであり、作業効率を向上させた。参加者たちは普段見られない電車の床下設備をじっくり眺めていた。
続いて、電車の洗浄機を車内から体験する試みが行われた。電車に乗った状態で洗浄機の中を通過すると、その瞬間に多くの参加者から驚きの声があがった。その後は運転台を見学。子供たちは運転席に座り、実際に乗務する運転士から説明を受けていた。
見学の後には、現在の東西線車両05系・07系・15000系が並ぶ車両基地で撮影会が行われ、多くの参加者がカメラを向けていた。
車両基地内の工場で車体の吊上げ作業なども公開
深川車両基地は深川検車区と深川工場で構成される。東西線の開業後、1967(昭和42)年に深川検車区、1970(昭和45)年に深川工場が発足した。検車区では10日以内に一度の「列車検査」と3カ月に一度の「月検査」、日々の「出庫点検」を行い、工場では4年以内に一度の「重要部検査」と8年に一度の「全般検査」を行う。
見学会では車両基地内にある工場も公開され、車体の吊上げ作業やパンタグラフの上げ下げ、方向幕や液晶の変更の体験、車両の屋根の見学などが行われた。抽選で選ばれた一部の人向けに、台車洗浄装置の動作や台車塗装ロボットの見学も。制服を着て顔出しパネルで撮影するなどのコーナーもあり、参加者らも楽しんでいる様子だった。
今回の深川車両基地の一般公開は、地元の子供たちにとって東京メトロに親しむ良い機会になったに違いない。普段は見られないような鉄道の姿に驚き、保護者の多くも関心を示していた。これからもぜひ、こういった機会を増やしてほしい。