FutureMarkは6月5日、デスクトップ向けベンチマーク「PCMark」の新バージョン「PCMark 10」を発表した。ということで、新バージョンの概要や手近なシステムで実施した結果などを紹介したい。

前バージョンのPCMark 8がリリースされたのは、2013年7月だから、およそ4年ぶりの更新となる。今回の特徴は"PCMark 10 is easier to use and takes less time to run. In fact, the main PCMark 10 test takes less than half the time of the equivalent test in PCMark 8."(PCMark 10は、PCMark 8よりもより手軽に短時間でテストできる。実際、半分未満の時間でPCMark 8と同等のテストが可能)とされている。

実は今回のリリースに先立ち、3月28日に3DMark VantageとPC Mark Vantageのサポートを4月11日で終了するというリリースがFutureMarkから出されているが、このリリースの中にさらっと"PCMark 10, coming soon, for Windows 10."という一文が入っており、近日リリースされることが明らかになってはいた(とはいえ、このタイミングとは思わなかったが)。

テスト構成 - テスト項目の統廃合が進む

PCMark 8の場合、Home/Work/Creative/Storageという4種類のWorkloadが用意され、Home/Work/CreativeについてはさらにOpenCLの有無で合計7つ。さらにMicrosoft Officeをそのまま使うテスト、それとAdobeのCreative Suiteを使うテストもあり、これ合わせると9種類ものテストがあった。PCMark 10ではこれを3種類に統合する。

新しくTest Groupという概念が導入され、Essentials/Productivity/Digital Contents Creation/Gamingの4Groupが用意されている。これに対してテストはPCMark 10とPCMark 10 Express、PCMark 10 Extendedの3種類となる。Groupとテストの関係は下の通りだ。

PCMark 10 Express PCMark 10 PCMark 10 Extended
Essentials
Productivity
Digital Contents Creation ×
Gaming × ×

この3種類のテストのどれを実行できるのか、というのはPCMark 10のEditionと関係している。

PCMark 10 Express PCMark 10 PCMark 10 Extended
Basic Edition × ×
Advanced Edition
Professional Edition

となっている。Basic Editionは無償で利用できるが、言ってみればPCMark 10を実行することだけしかできない。Advanced Editionは有償(29.99ドル)だがすべてのテストを実行できるほか、以下のような特徴を備える。

  • 個別のテスト結果を比較可能
  • テスト中のCPU/GPUの負荷状況や動作周波数・温度などをモニタリング可能
  • テストのカスタマイズ可能
  • オフラインでの結果の保存が可能

Professional Edition(価格は現時点では未公表)はこれに加えて結果のXML/PDF出力とかコマンドラインでの起動、商用利用、電子メールおよび電話サポートが付く形だ(追記:Professional Editionは年額1495ドルと発表された。)。

PCMark 8とPCMark 10の比較も示されており、これによれば

PCMark 8 PCMark 10 相違点
N/A App Startup アプリケーションの立ち上げ時間を計測
Web Browsing Web Browsing Chromiumに加えてFirefoxも利用。テストするサイトの種類を増やし、幅広いシナリオをカバーした
Video Chat+Video Group Chat Video Chat+Video Group Chat 解像度を1280×720@30fpsから1920×1080@30fpsに変更
Writing Writing Wordpad風のアプリでのテストからLibreOffice Writerに変更
Spreadsheets Spreadsheets シナリオのバラエティを増やし、CPUとGPUの性能が反映されやすくなった
Photo Editing+Batch Photo Edition Photo Editing 利用するフィルタの種類を増やした
Video Editing Video Editing PCMark 8のVideo Edition TestとMedia To Goのテストの一部を統合
Media To Go N/A
N/A Rendering and Visualization 新規追加。実際のユースケースにあわせたCPU/GPUの性能が出やすいテスト
Casual Gaming N/A DirectX 9ベースのゲームは廃止
Mainstream Gaing Gaming 3DMarkのFireStrikeをベースとしたテストを利用

となっている。基本的にはシナリオ類はある程度継承されてはいるが、基本的に別のものになっているため、PCMark 10とPCMark 8間での性能比較はできなくなっている。ちなみにこうした統廃合の結果としてテスト時間が大幅に短縮された。FutureMarkによれば、所要時間は以下のように短縮されたという。

PCMark 8 Creative PCMark 10
OpenCL未使用 約56分 約26分
OpenCL使用 約56分 -
PCMark 8 Work PCMark 10 Express
OpenCL未使用 約34分 約18分
OpenCL使用 約30分 -
PCMark 8 Home PCMark 10 Extended
OpenCL未使用 約34分 約301分
OpenCL使用 約30分 -

また、PCMark 10はWindows 10向けとされているという話をしたが、実際にはWindows 7 SP1やWindows 8.1でも稼動する。最小テスト構成は以下の通り。

PCMark 10 PCMark 10 Express PCMark 10 Extended
OS Windows 7 SP1(64bit) Windows 7 SP1(64bit) Windows 7 SP1(64bit)
CPU Dual core Processor Dual core Processor Dual core Processor
Memory 4GB 2GB 4GB
Storage 4GB free space 2GB free space 6GB free space
GPU DX11 GPU DX11 GPU DX11 GPU w/1GB Memory
Display 1920×1080 1280×720 1920×1080

意味があるかどうかは別として、一応スペック上で見ると、例えばIntelのComputeStickとかComputeModuleでも動作する(2GB MemoryのものでもPCMark 10 Expressは動く)わけだ。