パナソニックが、6月16日から、4K有機ELテレビ「ビエラ TH-65EZ1000」など3機種を発売する。それにあわせて、同製品を生産している栃木県宇都宮市のアプライアンス社テレビ事業部モノづくり革新センターの生産ラインの様子を公開した。モノづくり革新センターでは、2017年5月から、有機ELテレビの生産を開始しており、この様子を公開したのは初めてのことだ。パナソニックの有機ELテレビへの取り組みともに、それを生産するテレビ事業部モノづくり革新センターの取り組みを追った。
フラグシップモデルに位置づけられる有機ELテレビ
パナソニックが発売する有機ELテレビは、同社のテレビ製品のフラッグシップモデルに位置づけられ、同社では、「ビエラ史上最高峰の漆黒の黒と色再現性を実現している」とする。
4K有機ELテレビの特徴は、4Kの829万画素を、1画素単位で映像を制御できる自発光方式であるという点だ。自発光方式は、プラズマテレビやかつてのブラウン管テレビと同じだ。
パナソニックが、有機ELテレビをフラッグシップに位置づけるのは、有機ELパネルならではの豊かな黒階調と、きめ細やかな色彩を実現しているのに加え、同社が、プラズマテレビで培ってきた自発光パネルに最適化した画質処理技術を生かせるためだ。その点では、早々にプラズマテレビをあきらめ、液晶テレビにシフトしたソニーが、有機ELテレビを発売しても、あくまでも液晶テレビをフラッグシップに位置づけているのとは、基本戦略に差がある。
パナソニックは、2013年に発売した「ZT60」を最後に、プラズマテレビから撤退。それ以降は、液晶テレビを発売してきた経緯がある。だが、プラズマテレビを発売していた当時、世界で一番画質が高いテレビとして、プラズマテレビを購入したユーザーが、買い替えサイクルに入ってきている。そうしたユーザーに対して、プラズマテレビと同じ自発光デバイスであり、世界最高画質を実現するのが有機ELテレビであると提案。高画質を求めるユーザーへのリプレースには、最適であると位置づけているのだ。
パナソニックでは、新たな画質処理エンジンを開発。これを組み合わせた高画質回路「ヘキサクロマドライブPLUS」によって、有機ELパネルの性能を最大限に引き出すことができたという。
さらに、同社のハイファイオーディオブランドである「テクニクス」の開発チームとともに音質をチューニング。最大出力80Wの新しいサウンドシステムを搭載した「Tuned by Technics」により、最高画質に相応しいサウンドも兼ね備えることに成功した。
このように、パナソニックの有機ELテレビは、パナソニックのプラズマテレビ、高級オーディオといったこれまでの資産を生かすことでフラッグシップと位置づけるテレビを実現している。
50年間続くパナのテレビ生産の拠点
今回、パナソニックが公開した栃木県宇都宮市のアプライアンス社テレビ事業部モノづくり革新センターは、パナソニックのテレビづくりのノウハウを蓄積した拠点であり、有機ELテレビの製品化には欠かすことができない拠点だ。
テレビ事業部モノづくり革新センターは、宇都宮工場として、1967年に創業。今年がちょうど50年目の節目を迎える。