『iCarly』や『ビクトリアス』といった人気海外ドラマを手がけてきたプロデューサー、ダン・シュナイダーの最新シリーズ『ゲームシェイカーズ』が、6月7日(毎週水曜19:25~)からNHK Eテレにて全25回で放送される。舞台はアメリカ・ニューヨーク、中学生のベイブとケンジー(CV.釘宮理恵)が学校の宿題で制作したゲームアプリ・スカイホエールを発売し大人気となり収入を得たことで、クラスメートのハドソン(CV.下野紘)を誘って"ゲームシェイカーズ"という会社を設立していくといった物語だ。このベイブを演じるのが、声優・花澤香菜。『〈物語〉シリーズ』の千石撫子をはじめ、近年ではアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』の"黒髪の乙女"役で星野源とも共演するなど活動の幅を大きく広げている花澤だが、意外にも海外作品の吹き替えは2回目で、ドラマのそれは初となる。
そんな花澤の『ゲームシェイカーズ』のメディア向け公開アフレコが5月中頃、都内のスタジオで行われた。元気いっぱいのベイブを演じる花澤はマイクを前に、まるでアメリカ人のように大きく身振り手振りを交えながら、表情豊かに演技を繰り広げていた。初めての海外ドラマ吹き替えへの心境や自身が演じるベイブに対する思い、そして本作とコラボレーションした同Eテレの情報番組『Rの法則』に出演した際の感想などさまざまな角度から本作に対する眼差しについて花澤に聞いた。
演じるベイブはパワフルすぎるほど「ただただ前向き」
――今回、初の海外ドラマの吹き替えですが、今まで声をあててきた日本のアニメとの違いをお聞かせください。
私、吹き替えは今回が2回目だったんです。『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(17年)が初めてで、その時も思ったんですけど、外国の方は日常会話でも身振り手振りが大きくて表情豊かにお喋りするじゃないですか。それと普段の私の喋りとでは、パワーが違います。なので「体力つかうなぁ」と思いながらアフレコしてたんですけど、今回はさらに(演じるのが)中学生でパワフルすぎるくらいなんです。まだアフレコは1回しかできていないのですが、作風もドタバタコメディで、ボケたりツッコんだり叫んだりするので「毎回汗だくになるんだろうな」という感じがしますね。
――中学生の役自体は、これまでにも(『〈物語〉シリーズ』の)千石撫子をはじめ、様々されてきたと思うのですが、そういったアニメのキャラたちとベイブの印象は違うものなのでしょうか。
ベイブは思ったことをしっかり言うし、あまり悩みも抱え込まないタイプなんです。アニメで中学生が描かれる時…仰った撫子だと結構、内面にいろんな事情を抱えていて、モノローグで吐露するような描写があるんですけど、それとは全く違いますね。今回のベイブは、「どんな困難もガツガツ解決していくぜ!」といった、ただただ前向きな感じが見ていて元気になるような女の子なんです。
――そういう時って言い方もやっぱり強めだったり?
そうです! もう逃げ場をなくさせながら、笑顔で「うん」と言わせるように(笑)。
振り回されたいポジションだった学生時代
――そんなベイブはゲームアプリを開発して会社まで起こしますよね。中学生の頃に、そういったクラスメートがいたらどんな風に思いますか。
いやぁ尊敬しますね(笑)。私も子役のお仕事をしていたものの、自分で何か開拓していこうという気持ちは無かったので。ベイブはすごい度胸と向上心と…あと少し悪知恵を働かせるところもあって、そこがすごく可愛いんです。そんな頭の回転の速さがあるから会社を起こすことになるんでしょうね。それに、悪知恵が働くんだけど悪くなりすぎないんですよ。可愛さでカバーしているし、ちゃんと人に喜んでほしいとか心根が良いところもあるので。自分をちょっと大人っぽく見せたいという感じもすごく可愛らしくて大好きです。
――中学生時代にベイブと会っていたら、お友達になりたいですか?
この作品にはベイブとケンジーという2人の女の子が出て来るんですけど、ベイブは色んな人を巻き込んでいくタイプの女の子で、ケンジーはすごく頭が良くてしっかりしていて。ちょっと変なところもあるんですけど、ベイブにどんどん巻き込まれていって一緒に"ゲームシェイカーズ"を設立するんです。私は学生時代、ガツガツ精力的に活動する方ではなかったので、ケンジー的ポジションになるのかなと思います。それでベイブに振り回されたい感じはしますね。
――ケンジーのようにどちらかと言えば、大人しい感じの中学生だったのでしょうか。
そうですね…ボーっとしてました(笑)。今もそんなに変わらないですけど、上手く自分の気持ちを言葉にするのが苦手というか。本当にベイブとは真逆だったと思います。
企み顔のベイブに親近感
――当時観ていたお好きな海外ドラマはありますか。
『フルハウス』シリーズをずーっと観ていました。今では『フルハウス』に出演していらっしゃった声優の方にお会いする機会もあるんですけども、「あのキャラの人だ」と思ったりするくらい本当に大好きでしたね。
――なるほど。今回の共演の釘宮(理恵)さんや下野(紘)さんとのやりとりはいかがですか。
実はまだ一緒には録れてないのですが、完成した1話は観させていただきました。その1話の最初の場面で、ケンジーが真面目で頭の良い子というのが分かるシーンが出てくるんですけど、どんどんおかしくなっていくんです(笑)。お茶目な部分がたくさん出てくるんですね。その天然な部分を釘宮さんが「これでもか」というくらいに全力で演じられているので注目してほしいなと思います。
下野さん演じるハドソンは笑い方が特徴的なんですよね。「そう言えば下野さんも笑い方が特徴的だったな」、「ぴったりだな」と思っていたんですけど、1話でもすごく変な笑い方をしてました(笑)。そこも注目です。
――ご自身としては、手応えはありましたか。
ベイブは結構、企み顔をするんですよ。その表情と私の声色は「何となく合っているかもしれないな」という感じはしました。でも実感は、これからどんどんベイブというキャラを掴んでいってからだと思うので、頑張ります。