三菱重工業、三菱航空機ならびにプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney :P&W)は5月31日、次世代リージョナルジェット機・MRJ(Mitsubishi Regional Jet)に搭載するP&W製のPure Power Geared Turbofan PW1200Gエンジンが、米国連邦航空局(FAA)の型式証明を取得したことを発表した。
MRJは先ごろ、4機目となる飛行試験機が米国の飛行試験拠点であるモーゼスレイク・フライトテスト・センターに到着。極寒・酷暑試験や自然着氷試験などの社内試験を実施している。
MRJは、MRJ70とMRJ90ともに2基のPW1200Gエンジンを搭載しており、PW1200Gエンジンの性能を最大限に引き出すよう、機体の設計を最適化している。また、エンジンに採用された先進技術が現行のリー ジョナル機と比べ、機体の運航コストを10~20%、最新の基準に対して排出ガスを50%低減し、同クラス機で最高の運航経済性と環境適合性をもたらす。
三菱航空機社長の水谷久和氏は、「密接なパートナーシップに基づくエンジンと機体設計の調和が、今後の空の旅を変える次世代リージョナルジェット機の開発においては極めて重要だと考えています。この革新的なエンジンのローンチ・カスタマーであることを大変誇りに思います。今回のエンジン型式証明取得は、MRJ開発に新たな1ページを刻む偉業であり、今後もパートナーの皆様との連携を強化し、 次なるフェーズに向け開発を加速してまいります」 とコメントしている。
P&Wのコマーシャル・エンジン担当プレジデントのクリス・カリオ氏は、「三菱が自社で開発を進める新型機に確信を持ってPurePowerエンジンの搭載を決定したこと受け、このエンジンプログラムは開始されました。今後もMRJプロジェクトの成功に向けて、両社で連携して取り組んでまいります」 とコメントしている。
PW1200Gエンジンは、FAAの定める型式証明の要件クリアに向け、15種類を超えるシステムレベルの基幹試験に成功した。これらの試験を通して、性能・耐圧・耐荷重・耐久性・排出ガス・騒音・ 鳥衝突・ファンブレードコンテインメントといった項目において、型式証明取得にあたり必要とされるデータを獲得。開発・証明作業・飛行試験を通じたエンジンの総運転時間・サイクルは、6,000時間、1万5,000サイクルに達している。エンジンの推力は1万7,000ポンドで、現在5機の飛行試験機に搭載されている。