家庭用アイスクリームメーカー「IceDeli(アイスデリ)」を5月に発表したハイアールジャパンセールス。白物家電を主力とする同社だが、なぜこのタイミングで嗜好性の強いアイスクリームメーカーのような製品に目を着けたのだろう。

(左から)家庭用アイスクリームメーカー「IceDeli(アイスデリ)」(JL-ICM710A/ホワイト)と「IceDeli Plus(アイスデリ プラス)」(JL-ICM720A/ベージュ)。価格はオープンで、推定市場価格(税別)はスタンダードモデルのJL-ICM710Aが1万6800円、高機能モデルのJL-ICM720Aが1万9800円

冷やす技術をアイスクリームへ

ハイアールジャパンセールスは、中国に本社を置く家電メーカー ハイアールグループの日本法人として2002年に設立。Haierブランド製品を日本全国に販売している。Haierの主軸となるのは、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジといった白物家電で、ブランドマーケットシェアでは世界第1位を誇る。

生活必需品である白物家電と異なり、今回発売したアイスデリは、どちらかというと嗜好品に近い製品であるといえる。アイスデリの企画開発のきっかけは何だったのだろうか。ハイアールジャパンセールス 商品企画部 部長 森脇利行氏は、「Haierは、冷蔵庫単独でもシェア世界一です。どう冷やすか、どう省エネするかといったことについては、日々研究開発をしています。今回のアイスデリは、もともとワインクーラーに採用していた『ペルチェ素子』という冷却装置を使って何か新しいものができないかというアイディアから生まれたものです」と説明する。

ハイアールジャパンセールス 商品企画部 部長 森脇利行氏

従来の家庭用アイスクリームメーカーは、冷却ポットを冷凍庫で事前に8時間以上冷やしてからアイスクリームを作る「事前冷却式」のものがほとんどであった。価格は数千円と比較的安価だが、事前冷却の時間と冷凍庫のスペース確保が課題であった。

一方で、冷蔵庫と同じ仕組みで冷やす「コンプレッサ式」のアイスクリームメーカーは、事前の冷却なしで使用することができる。ただし、本体の重量が10kgを超えるものが多く、価格も数万円程度と高くなる。一般家庭で利用するには、やや手を出しづらい。

冷蔵庫は一般的に、コンプレッサで冷却する。黒い装置がコンプレッサ

そこで、ペルチェ素子の出番となる。ペルチェ素子は、冷媒ガスを使わないため軽量であり、大きさも5cm角程度とコンパクトだ。ただ、ペルチェ素子を冷蔵庫のような大型製に使うと製品コストが嵩んでしまう。アイスデリのようなコンパクトな家電製品であれば、"使える"というわけだ。

ペルチェ素子。電流を流すと片方が熱く、片方が冷たくなる