バンダイが展開する"大人が装着できる変身ベルト"「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」より、最新アイテム「CSM デンオウベルト&ケータロスセット」が発表された。「仮面ライダー」シリーズと変身ベルト玩具は、原点である『仮面ライダー』の時代から切っても切れない仲。「CSM」は、大人になったライダーファンを中心に人気を集め、現行の放送とは関係なく、最新作のリリース自体がトピックになるほどブランドとして確立されている。

9月発送予定「CSM デンオウベルト&ケータロスセット」(21,600円/税込)

その「CSM」第16弾として商品化された「CSM デンオウベルト&ケータロスセット」は、放送開始から10周年を迎えた『仮面ライダー電王』の変身ベルトをモチーフにしたメモリアルなアイテムになっている。今回は開発者ブログでもおなじみのバンダイ ボーイズトイ事業部ライダーチームのフナセン氏に、「CSM」シリーズ開発に込めた思い、そして大人ファンを納得させる仕様へのこだわりについて直撃。ヒットの理由に迫った。

――あらためて、「CSM」というブランドのコンセプト。特に「DX」シリーズとの差についてお聞きしたいです。

「CSM」と「DX」では、明確な差として対象年齢が挙げられます。「DX」はあくまで本来のターゲットである、3才以上の子供たちに向けて作られていますので、「遊びやすさ」や「安全性」などがしっかり考慮された商品です。一方、「CSM」の対象年齢は15才以上であり、「DX」ではできないようなシャープな造形が可能です。また、子供にはやや難しい遊び方も、大人向けとして仕様に盛り込むことができます。

私の考える「CSM」ブランドのコンセプトは、「番組で行った演出を、音声・形状含めて可能な限り再現できる」というものです。「DX」シリーズは、まさに番組登場タイミングに発売するため、その半年前から開発に着手する必要があります。するとどうしても、番組での演出と玩具の機能に多少ズレが生じてきてしまうものなのですが、「CSM」はすでに放送終了した番組の商品であり、すなわち番組での使われ方・演出を完全に把握して開発できる商品です。"後から作る"という、時期の問題を最大限のメリットとして、仕様に盛り込むことをこのシリーズのアイデンティティとしています。

――具体的には、どういう人たちに手にしてほしいという想定はありますか。

このシリーズは、放送終了してから何年経っても、いまだにその作品を好きでい続け、お金を払ってもいいとお考えになって下さる方々には確実に手に取ってほしいと思い、作っています。肥えた目をお持ちの方々ばかりだと思いますので、そのみんなに納得して頂けるような物になればと。この商品でがっかりさせてしまうと、この商品の元になる作品への気持ちまで、少し削いでしまう気がしますので……。

――責任重大ですね。"大人向けの変身ベルト"としてブランドを掲げる上で、大事にしていることは何でしょう。

「番組の演出をとにかく可能な限り再現すること」。これに尽きると思っています。本物に極限まで近づき、「あとは自身の体が実際に変化するだけなのに……」という心境までいけるように、細部にまでこだわることが大事だと思っています。

――今回の「デンオウベルト」ではどのような点を重視しましたか?

「音」です。それは変身音や必殺技音といったシステム的音声が実際の映像と同じであることだったり、「イマジン」の音声が妥協無くできるだけ入っていることだったり、どういう動作をしたら、あの音が鳴るのかといった、操作と結果の部分だったり、という点です。それを追求した結果、収録音声データ時間が、デンオウベルトとケータロス合わせて26分以上という、仮面ライダー音声玩具史上でかつてないレベルのボリュームになっています。

――10周年を迎えた『仮面ライダー電王』は、今でもファンが多い作品です。フナセンさんにとって『電王』にはどんな思い入れがありますか?

ちょうど、就活でバンダイを受けるタイミングで放映されており、1ファンとしての目線だけでなく、「玩具を作るとはどういうことなのか」という視点を持って、駆け出しではありますが仕事としての玩具・ライダーの見方を強く意識し始めた作品ですので、非常に思い入れが強いです。

――それだけ思い入れの強い作品のベルトを商品化するにあたり、もっとも頭を悩ませたのはどこでしょう。

クライマックスフォームの変身音ですね。劇中では、実は登場する回すべてで、変身音が異なっているのです。これは、変身演出でデンカメンが付くタイミングが違ったり、変身シーンに割く尺が違ったりということが関係しているのだと思います。初登場の回なんて、めちゃくちゃ長い変身シーンでしたし……。ということで、変身音の「正解」が無いのです。そのため、玩具で遊ぶときに一番ふさわしい尺や組み合わせを考え、「CSM」用の変身音として今回構成しました。

――「本物」に迫るということは、「本物らしさ」をどれだけ意識させられるかということでもあるのですね。ちなみに、ファンも気になるところだと思うのですが、フナセンさんは「CSM」のベルトをどのようにして楽しんでいますか?

担当になる前は、買ってひと通り遊んだあとは、コレクション棚に箱に入れて飾っていました。今は開発する側になり、毎日のように試作を触っているので、完成した後にフラットに楽しめるかは分かりません(笑)。

後編では、最新作「CSMデンオウベルト」の仕様、そして商品に込めたフナセン氏ならではのマニアックなこだわりについて語る。

(C)石森プロ・東映