国立成育医療研究センターは5月24日、子どもの健康における都道府県間格差についての研究結果を発表。日本の人口動態統計115年分の大規模データをもとに、子どもの健康に関する評価基準のひとつである「5歳未満死亡率」について、都道府県間の経年的変化に関する分析を行った結果、格差指標が拡大していることが分かったという。
同研究は、同センター政策科学研究部 森臨太 部長の研究グループが、臨床研究教育部 永田知映 室長、臨床疫学部 盛一享徳※ 上級研究員らと協力し、行ったもの。1899年から2014年までの115年間までの人口動態統計データを解析し、各都道府県の年毎の5歳未満死亡率を計算。さらに5歳未満死亡率の都道府県間格差の年次推移を検討するために、格差を測る指標を年毎に計算した。
その結果、5歳未満死亡率は、1899年の238人から2014年の3人まで一貫して低下していたものの、格差指標については2000年代に入って上昇し始めていて、2014年の指標は1970年の指標を超えていることが判明。その値は第二次世界大戦以前の値に近く、子どもの健康における格差が広がってきている可能性があることが分かった。
同センターは、「本研究により、子どもの健康の地域間格差を示す指標が、近年悪化していることが示されました。今後は今回検討した格差を測る指標の変化が、真に子どもの健康における格差の拡大を示しているのか、またそうであればその要因は何かといったことについて、より詳細な検証が求められます」とコメントしている。
※実際には「徳」の字の「心」の上に「一」が入ります