デジタル教材や教育機関向けの電子機器など、IT技術を活用した最先端の教育関連製品やサービスが集まる日本最大の見本市「教育ITソリューションEXPO」が、今年も5月17~19日に開催された。8回目の開催となる今年は、"学びNEXT"と題した特設エリアが設けられ、ITを活用した次世代の教育・学習ツールの出展が目立った。

モジュールキット「little Bits」(コルグ)は見た目もキュート

中でも、2020年度から公立小学校でも必須科目となる"プログラミング教育"向けの教材は、ロボットを動かすというオーソドックスなものからドローンを組み立て、プログラミングするという、昨今のトレンドを反映したものまでさまざまなものが目白押し。そんな中から今回は、会場で特に注目した、低年齢から遊ぶことができる家庭向けの製品を中心に紹介したい。

ブロック感覚で電子工作 - 「little Bits」

最初に紹介するのは、ハンダ付けや配線、プログラミング知識不要で、電子回路を学ぶことができるモジュールキット「little Bits」(コルグ)。パワー、インプット、アウトプット、ワイヤーの4種類に分類された50種類以上のモジュールがあり、それぞれマグネットで引っ付けることができ、ブロック感覚で電子工作が行えるという製品だ。

「little Bits」はマグネットで引っ付けることもできる

2011年にMIT出身の創業者によって設立された、ニューヨークを拠点とするスタートアップ企業による製品で、日本では2013年からコルグが輸入販売を展開している。今回の見本市では、ゲームを構築しながらコード学ぶことができる「CODE KIT」など、今夏以降発売予定の新製品が多数展示されていた。

電子タグでアナログなものも電子化 - 「MESH」

シンプルなデザインな「MESH」(ソニー)は、加速度センサー、LED、ボタン、明るさセンサーなどさまざまな機能を持つ、無線でつながる小さなブロック状の電子タグを物に取り付けることによって、アナログなものを電子化できるDIYキット。アプリ上でアイコンをドラッグ&タップして指でつなぐだけで、簡単にプログラミングや電子回路の仕組みを学習できる。

DIYキット「MESH」(ソニー)

ソニーの新規事業創出プログラムから生まれた製品で、2014年から販売されており、教育現場での活用も盛ん。ブースでは子どもたちが実際に作成した作品や事例も紹介されていた。

「MESH」は加速度センサー、LED、ボタン、明るさセンサーなどさまざまな機能を持つ

小型のブロック型たちが通信し合う - 「SAM」

「SAM」(リンクスインターナショナル)は7月に発売が予定されている、イギリスのスタートアップ企業・Sam Labsのブロックモジュール型の電子工作学習教材。スイッチ、LED、センサーなどが収められた小型のブロック型モジュールにはそれぞれブルートゥースが搭載されており、互いに認識して通信することができる。

電子工作学習教材「SAM」(リンクスインターナショナル)はブルートゥースを搭載し、各モジュールどうしが認識・通信し合う

「SAM」プログラムや条件がビジュアル化されたプログラミングインターフェースを採用し、コーディングの知識がなくてもマウス操作でつなぐだけで直感的にプログラミングができるというツールだ。

乳幼児から使える木製キット - 「PETS」

プログラミングというと乳幼児は対象外なイメージがあるかもしれないが、「PETS」(for Our Kids)はパソコンやタブレットも使わず、乳幼児でも体感的にプログラミング的思考を理解させることができるというもの。

「PETS」(for Our Kids)は体感的にプログラミング的思考を促す

方向が記されたブロックを差し込み、指示通りに本体が動くことでプログラミングの原理を学べるロボット教材で、木製の本体は自身で組み立てることもできる。これまで開発・販売元が主催するワークショップでの使用や、教育現場向けに販売されていたが、8月に一般発売される予定だ。

「マインクラフト」で遊びながら - 「PIPER」

子どもたちに大人気のゲーム「マインクラフト」で電子工作を学習できるキットが、「PIPER」(リンクスインターナショナル)。名刺大のサイズに一通りの機能を備えるワンボードPC「Rasberry Pi」をはじめ、液晶モニター、バッテリーなど、マインクラフト専用のゲーム端末用のパーツが一式そろい、組み立てながらコンピューターの仕組みを学べる。

「PIPER」(リンクスインターナショナル)の完全日本語ローカライズ版が登場

組み立て作業後の動作検証を、マインクラフト上に再現されたミニチュアで学べるという手法もユニークだ。米国のベンチャー企業による人気商品だが、日本の販売代理店であるリンクスインターナショナルから、完全日本語ローカライズ版がこのほど登場した。

幼児教室でも活躍中のダイヤブロックも - 「ソビーゴ」

最後に紹介するのは、子ども用プログラミング専用パソコン「Ichigojam」を用いて、自ら組み立てたロボットを動かすためのプログラミングに挑戦する教材「ソビーゴ」(ワイズインテグレーション)。セットにも含まれているキーボードを用いて、簡単なプログラムを実際に入力して行うため、やや上級者向けではあるが小学生低学年でも十分可能。ロボットは段ボール製で自分で組み立てたり、装飾したりするクラフト工作から始められるというのも面白い。

「ソビーゴ」(ワイズインテグレーション)はコードを入力する本格的なプログラミング教材だが、小学生でも操作可能

一方、「ソビーゴ こどもブロック プログラミング」は3歳以上の幼児向けの教材。プログラミング教育向けにデザインされたダイヤブロックとアプリを用いて簡単なプログラミング体験ができるというもので、一般発売はされていないが、「ドラキッズ」など幼児教室でも採用されているとのことだ。

「ソビーゴ こどもブロック プログラミング」は幼児教室でも採用されている