みずほ情報総研はこのほど、「認知症の人に対する家族等による預貯金・財産の管理支援に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2016年10月6日~12日、調査対象は認知症の家族・親族がいる40歳以上の個人で、かつ過去3年以内にその認知症の家族・親族の預貯金・財産の管理を支援したことがある人、有効回答は2,000人。

成年後見制度の利用者は6.4%

家族・親族が預貯金・財産の管理を支援することになった理由を尋ねると、「ATMの操作・利用が難しくなった」が48.5%と最も多く、次いで「お金の管理が難しくなった」が46.1%、「窓口での説明の理解が難しくなった」が42.5%と続いた。

認知者の方が預貯金の管理・財産を家族・親族に支援してもらう必要がでてきたのは、なぜですか。(複数回答)(出典:みずほ情報総研Webサイト)

預貯金・財産の管理の方法は、「ATMによる預貯金の管理(本人の代理として実施/本人は不在)」が59.8%で最多。内容については、「50万円未満の預貯金の引き出し」が76.9%と一番多かった。

成年後見制度を利用している人はわずか6.4%で、「成年後見制度のことは知っているが利用するつもりはない」と答えた人が55.4%を占めた。同社は「成年後見制度の申請において複雑な手続きを踏まなければならない、成年後見制度を利用しなくても不便を感じていないなど、支援者にとって利用に対するインセンティブが働いていないことがあると考えられる」と推測している。

支援する上で「とても負担を感じる」と答えた割合が多かった項目トップ2は、「本人にわかるように説明すること」(22.5%)と、「本人の同意や直筆の委任状を得ること」(20.2%)だった。

支援に難しさを感じた際に相談した相手を聞くと、家族・親族以外(67.7%)では、「ケアマネジャー・地域包括支援センター職員など介護の専門職」が35.3%と最も多く、次は「金融機関の職員」で29.8%。一方、「弁護士・司法書士など法律の専門職」は10.1%にとどまった。

専門職に相談したい内容は、「家・土地の管理・処分に関すること」が38.5%、「税金に関すること」が38.1%、「相続に関すること」が34.3%の順となった。