嵐の二宮和也(33)が、21日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『ニノさん』(毎週日曜12:45~13:15)で、ドラマデビュー作での苦い思い出を語った。
二宮は、1998年に放送されたTBS系『天城越え』でドラマデビューを飾った。同作は松本清張の短編小説を原作としたドラマで、第35回ギャラクシー賞優秀賞、第38回日本テレビ技術賞を受賞したことでも知られる。純朴な少年・多吉が伊豆山中で酌婦のハナ(田中美佐子)と出会い、彼女と旅をする中で大人へと成長していく姿を描く。
その多吉を演じたのが二宮。番組内で「人生最大のピンチ」の話題になり、この時の記憶が頭をよぎったようで、「いきなり主役の少年ですよ。わらじをずっと履いているから親指と人差し指の間から血が出ちゃって『帰ろうか』『このままトンネルをくぐって新しい世界に行こうか』悩むシーン」と忘れられない撮影を振り返る。
その1カットに費やされた時間が、なんと3日。「朝の8時から日が暮れる5時ぐらいまで。これは衝撃でした」と興奮気味に話し、監督からの指示を「違う! はい、もう1回!」と再現してみせる。ゲストの俳優・坂上忍(49)は、「俺なら、そこら辺で殺してやろうかなと」と過激な発言で二宮に同情した。
二宮がNGを繰り返している間、ハナ役の田中美佐子は車で待機。監督から「できなかったんだから、お前が謝って来い」と言われ、田中のところまで「申し訳ないです。今日の撮影、明日になります」と頭を下げに行ったという。二宮は、神妙な面持ちで「しんどかったなぁ……しんどかった」と思わず本音を2度こぼした。
スタジオが静まり返る中、坂上は「十分苦労してますよ」「その監督のおかげが、今どこかに入っていると思います」と優しく言葉を掛ける。二宮は、「放棄するのも恐怖だし、続けるのも恐怖」と逃げ場もなく追い込まれた当時を振り返りながら、「めちゃくちゃ怖かった。本心で言うと、トンネルの中くぐらないで帰ってたもん」とドラマの内容に沿って冗談を飛ばし、最後は笑顔を取り戻した。
今年3月3日に行われた第40回日本アカデミー賞の授賞式で、新人俳優賞のプレゼンターを務めた二宮。壇上で新人賞に憧れを抱いていたことを明かし、「僕は新人賞をいただけないまま新人じゃない人になってしまった」「この時にしか取れない、出会えない、数少ない賞」「みなさんのことを非常に尊敬していますし、今回はこのような形でここに出させていただきましたけど、次回は作品で、みなさんと一緒に関われたらなと思い、頑張っていこうと思いました」と心境を語っていた。『天城越え』の苦い記憶が蘇っていたのかは定かではないが、その言葉には新人への思いがにじみ出ている。