家計簿をつけたり、科目別に袋分けをしたり……。「いろいろ工夫をしているのに、予算内で生活ができない!」なんてことはありませんか? しかし、そんな面倒なことをしなくても、お財布の使い方にちょっとしたルールを取り入れるだけで、節約効果も期待できる家計管理が実現できます。

子育て世帯の家計管理は"財布の使い方"を変えるだけでいい(写真はイメージ)

コントロールしにくい「変動費」の管理がカギ

まずは、「何を管理したいか」を明確にしましょう。支出の種類には、大きく分けて2つあります。1つは、家賃や住宅ローン、保険料など、1度金額が決まってしまえば、変わることなく毎月支払うことになるお金「固定費」です。これは口座引き落としが主で、支出も月に1回など回数も少ないのが特徴。定期的にしっかり見直しをすることが大切ですが、日常生活ではそれほど意識しません。

一方、食費や日用品など、毎月支払うけれど金額が一定ではないお金「変動費」は、主に現金で支払うことが多く、日々の買い物で財布を開く回数も多くなるため、管理に手間がかかりがちです。また固定費とは違い、自分の意識次第で支払金額が大きく増減するものでもあるので、この「変動費」をどうコントロールするかが、家計管理の大きなポイントとなります。

財布の中にあるお金=その週に使えるお金

ここからは、お財布の使い方を紹介しましょう。まずは、コントロールしたい「変動費」の予算を決めます。「予算をいくらにすればいいか分からない!」という場合、まずは入ってくるお金をチェック。そこから既に、支払いが決まっている「固定費」を差し引くことで、「変動費」にいくら使えるのかが分かります。この時点で全然お金が残らない場合は、固定費の見直しから始める必要があります。

「変動費」の算出方法

そして
(1)月に1度「変動費」の予算1カ月分を銀行でおろす
(2)月単位の予算を週単位に直す
(3)毎週決まった曜日に1週間分の予算を財布に入れる、という手順で管理していきます。

1週間分の予算を財布へ

財布にお金がたくさん入っていると、どうしても気持ちが大きくなってしまいますし、ついつい前半では気前よく買い物をして、後半は失速……という事態になりがちです。しかし、「1週間」という期間に区切れば、使い過ぎを防ぎ、ペース配分がしやすくなります。

家計簿は集計をするまでその月にいくら使ったのか、残金はいくらなのかを知ることができませんよね。一方で、こういった形で財布を使えば、今の残金がすぐに分かりますし、何より手間がかかりません。財布の中にあるお金=その週に使えるお金、という状態にしておくことで、予算を意識しやすくなるし、複雑な手間のかかる管理も必要なくなりますよ。

家計管理の細かさとその効果はイコールじゃない

科目別の支出額を把握しておきたい場合には、レシートを科目別に分けて保管しておき、まとめて集計すればOK。4人家族の筆者の場合、1カ月分のレシート集計は10分もあればできてしまいます。

家計管理をシンプルにするという意味では、クレジットカードの使用も避けたいところですが、使用した際にはその都度、支出額分を1,000円単位でいいので、お財布から抜いておくといいでしょう。

家計管理の細かさと、その効果は決してイコールではありません。実践しやすく、知りたいことが最小の手間で分かる手段こそが、効果的な家計管理法です。"財布にあるお金が使えるお金"というシンプルな管理法、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。


著者プロフィール

ラーゴムデザイン代表 長谷部敦子
ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー。父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン.com