ANAは5月17日、世界最新鋭の設備を有する訓練施設「総合トレーニングセンター(仮称)」を京浜急行空港線「穴守稲荷駅」から徒歩6分の場所に新設することを発表。これまで羽田周辺に点在していた訓練施設の集約による効率的な訓練を実現し、実際の飛行機の到着から出発までを想定した、運航に関わる全ての社員が合同で訓練できる環境を整える。

「総合トレーニングセンター(仮称)」のイメージ

ANAは将来の航空需要の増加に備え、航空運送事業の基盤である安全性を高めるとともに、品質・サービスの源泉となる「人」への投資を積極的に展開。また、これまで非公開だった訓練施設の一部を公開し、広くANAを感じられる機会を創出する。

敷地面積は約3万3,000平方メートル、建物面積は約5万9,000平方メートル(2017年4月計画時点)で、S造(鉄骨造)地上8階建を構想。パイロットの訓練施設として、フルフライトシミュレーター(悪天候や期待不具合事象を視覚的に実機と同様の動きでシミュレーションできる操縦訓練機器)を設置する。

客室乗務員の訓練施設として、モーションモックアップ(飛行中の揺れ等をリアルに再現できる、日本初導入となる、機内サービス訓練等を行う世界最新鋭の可動式機体訓練機器)やリアルファイヤーファイティングトレーナー(ギャレー・ラバトリー等に実際の火を使用した火災状況を再現し、熱さ等も実感しながら、具体的な対応を学ぶ日本初導入となる消火訓練機器)のほか、茶室(和の心、日本流のおもてなしを学ぶ施設)などを新たに設置する。

空港関連では、整備部門の施設して最先端VR/AR技術を活用した新たな整備訓練、旅客部門の施設として実物の空港カウンターや出発ロビーにおける実際の接客状況での訓練、貨物部門の施設として実物の特殊車両機材を使用した貨物等の積み付け訓練等を想定。さらに、共通の施設として障がい者のケアを学ぶ施設も新設する。

検討を進めている見学エリアに関しては、これまで非公開としていた運航乗務員用のシミュレーターや客室乗務員用のモックアップなどの施設を公開し、ANAの安全への取り組みや努力と挑戦の歴史の紹介、シート等のプロダクトなどを展示するエリアの設置を視野に入れている。

総合トレーニングセンター(仮称)の場所は東京都大田区羽田旭町10-1他。2017年7月に着工し、2020年3月に供用開始を予定している。