女優・沢尻エリカ主演の日本テレビ系ドラマ『母になる』(毎週水曜22:00~)から、"母になる"ことを考えるこのシリーズ。vol.8では、同局の櫨山裕子プロデューサーに話を伺っていく。
同作では息子・広(道枝駿佑)が誘拐され、9年の歳月を経て再会することになった母親・柏崎結衣(沢尻)、広を救い7年間育てていた門倉麻子(小池栄子)、ヘアメイクとして活躍しながら「良い母親になれていない」と苦悩する西原莉沙子(板谷由夏)という、3人の"母"が描かれる。それぞれの思いが交錯し、毎回「いちいち泣ける」「辛いけど見てしまう」と話題だ。
現在の展開では、実の母親 VS 育ての母親といった"女の戦い"に注目が集まっている。しかし、実際に話を聞いてみると、今後は事前に予想していた"母になる"物語よりも、柔軟な道が示されようとしていた。
親だけが子供を育てるのではない状態に
――今回のドラマの制作に至ったきっかけは、何かあったのでしょうか?
自分にも子供がいて、脚本家の水橋文美江さんにも子供がいて、やっぱり思うようにならないことが多いんですよね、子供って。自分が母親かと言われたら、物理としてはそうなんだけど、想像してたよりも、実感する瞬間が少なかったりして。そんなことよりも、いろいろ起こる問題の方が大きい。
本当にわからない・できないことだらけなんですけど、じゃあ後悔するかというと、それはないんですよね。その感覚をなんとかして皆さんに伝えたいと思ったのが、きっかけでした。タイトルからも分かる通り、「母になる」ということの意味、難しさ、喜びをドラマにしたかった。
――ご自身の経験がかなり含まれているんですね。
私は自分が子供を産んで、すごくラッキーなことにお姑さんが面倒を見てくれたので、今の仕事を続けて来られました。それでも、他の人が育てているから、自分の思ってることと違ったりはするんです。でもそこはひとつ、納得しないとダメですよね。
そういった経験をしているので、親だけが子供を育てるのではなく、何かもっと緩やかな共同体みたいなものがあってもいいんじゃないかと思ったりします。生物学的な母親に縛られるとどんどん首が絞まっていくので、ゆったりとみんなで子供を気にかけて接していくことができると、子供にとってもいいんじゃないかなと思います。
――共同体といっても、村社会のようなものではなく、緩やかな共同体というところが良いですね。
今、前半戦でやっているのは、"母親"という名誉職を奪い合う戦いじゃないですか。でも果たしてその戦いって必要なのか? という問いを投げかけたいです。母親と子供の神話を信じる人にとってはとんでもない話かもしれませんが、せっかくやるんだったら、そこまでいかないといけないんじゃないかと。賛否両論あるとは思いますが。