新商品の開発~発売に至るまでの流れはどうなっているんでしょうか?

中間:定番商品なのか、話題性を重視する季節限定商品なのか、商品によって半年~1年以上と開発期間は異なります。ただ、近年の傾向でいうと、商品のライフサイクル(寿命)はとても短くなっています。お客様の「飽きるスピード」は速くなっている、ということです。極端な話、たとえば定番商品でも昔は10年に1度見直せば良かったものが、近年は5年、3年……と、より短いスパンになっているようにも感じますね。

共通するのは、発売までに原則「実験」をすることです。ハロハロでいうと、今夏発売予定の商品を昨夏、実験的に一定エリア(20店舗以上)で発売しました。商品により異なりますが、一定期間の実験期間を設け、販売数や狙った層のお客さまに支持されているか、など様々な角度からジャッジし、社内会議等を通過したものが、のちに全国発売となります。

ということは、実験したものの、残念ながら日の目を見ない商品もあるということですね。

中間:そうですね。たとえば「まるごとプリンまん」の実験をしたときも、3種類出して様子を見ていましたが、うち1種類は全国発売とはなりませんでした。とくに店舗で調理するファストフード類に関しては、実験を通して売上を追いかけるだけでなく、店舗のオペレーションに問題がないか、ヒヤリングをしているんです。

アルバイトの学生スタッフ、最近増えている外国籍のスタッフでも無理なく作れるか、といった視点も欠かせません。「◯◯が使いづらい」「◯◯が作りづらい」「商品名が言いづらい」など、ネックになっていることを聞いて改良を重ね、材料の納品形態を変えたり、オペレーションが楽になる仕組みを取り入れたり、商品名を見直したりすることもあります。

ファストフードだからこそ、お客様にウケるかどうかといった視点だけではなく、実際に作るスタッフのリアルな声にも耳を傾け、商品にしっかり反映する必要があるんですね。開発の体制(人数など)はどうなっていますか?

中間:コールド部門はソフトクリーム、パフェ、ハロハロで1人ずつ、計3人のチームです。デリ部門も中華まん担当を含め、計3人のチーム。メーカー側にも担当がいます。

菊地氏(以下、菊地):弊社にはマーケティングに特化した部署がありません。開発担当者がそれぞれでマーケティングを行い商品開発をしております。社内でも「こういう商品を作ったから、どう売っていこうか?」という流れで、開発~販促を進めています。

ミニストップ 商品統括部 WAON・メディアチーム 菊地大介氏

なぜ、そういったスタイルになったのでしょうか?

菊地:ファストフードがミニストップを象徴する商品のひとつだから、ではないかと思います。24時間いつでもできたての商品を店内ですぐに食べられる、コンビニ+ファストフードを融合させたスタイル「コンボストア」(ミニストップの造語)は認知され、「ファストフードがあるから経営したい」と加盟店に加わってくださる方も多いです。それもあって、ファストフードの商品を作ってから、どう売っていくか皆で考える、という文化が根づいています。

「ミニストップ=辛党向きコンビニ」という個性

最後に、ミニストップというコンビニの独自性を感じさせるエピソードを紹介して締めたい。ご存知の方もいるかもしれないが、ミニストップでは「ジューシーチキン」(骨なしチキン)を「プレーン(普通)」と「辛口」と2種類展開している。

「ジューシーチキン 辛口」

一時期、この「辛口」を“一般的な辛さ”に変更したことがあった。そのとき「ミニストップなのに辛くない! 他のコンビニと同じ辛さになっている」といった、鋭い指摘が届いた。その意見を受けて、担当者は「ああ、“普通”寄りの辛さにしてはいけないのだ」と実感したのだとか。

ジューシーチキンの「辛口」は「ただ辛い」では済まない。「世界一辛い」ともいわれる唐辛子、ブート・ジョロキアが使われているのだ。辛いものが苦手な人にとっては食べるのが困難なくらい、思いきった辛さに仕上げている。

しかし、ミニストップではこの辛口が実によく売れる。実際、辛さを打ち出した商品は他社よりも売れる傾向にあり、ファンの間では「ミニストップ=辛党向き」といったイメージも定着しているようだ。

多くの業界が国内での商売に苦戦している。コンビニも同様に飽和状態であるといえる。そんな中で、「どこのコンビニでもいい」ではなく、「ミニストップがいい」と思ってもらい、リピートされ、ファンになってもらうよう、大胆に仕掛けているミニストップ。選ばれるヒントをひとつ、学べた気がした。