楽天証券は5月12日、2017年3月期 決算説明会を開催した。営業収益は前年同期比15.1%減の466億円、営業利益は前年同期比31.9%減の167億円。決算説明会の後半では「楽天スーパーポイント」で投資信託できるサービスなど、楽天金融グループとのシナジーを発揮したいくつかの新たな取り組みを発表した。
減収減益の決算に
決算説明会には楽天証券 代表取締役社長の楠雄治氏が登壇した。市況の影響もあり、減収減益となった2017年3月期の決算。楠氏は「昨年度の前半は、株が厳しかった。後半は為替の動きが沈滞化したことなどが影響した」と説明。同社では今後、収益の分散化を図ることで、株式取引の収益に偏らないバランス型収益構造へ成長させていきたい考えだ。
楽天証券の総合口座は2017年3月末時点で225万口座を突破。その約半数は楽天会員が占めているという。顧客預かり資産の増加により、預かり資産は前年同期比で16.0%増となっている。
新たな施策で、若い世代の取り込みへ
楽天グループでは楽天銀行、楽天Edy、楽天市場、楽天生命など、様々な金融商材を取り扱っている。楽天証券ではこの強みを活かし、楽天経済圏をさらに発展させていく方針だ。2017年2月には楽天銀行とのシナジー「マネーブリッジ」を開始した。これは銀行口座と連携できるサービスで、自動入出金機能(スイープ機能)により証券取引時の利便性が向上する。楠氏は「買いたいときにすぐ自動入金でき、余った資金は楽天銀行の優遇金利が適用できる。年0.10%でお預かりするので、大変お得になっている」とアピールした。
また、楽天証券では100円から投資信託できる「100円投資サービス」を5月に開始予定。このサービスにより、投信の通常購入・積立ともに原則100円からの投資が可能になる。楠氏は「主要オンライン証券の大手5社中、もっとも少額で投資信託の購入が可能になる」と説明している。
さらに、新たな取り組みとして「楽天スーパーポイント」を投資信託の購入代金の全額、または一部に充当できるサービスを今夏にも開始する見込みだ。この狙いについて、楠氏は「100円投資サービスと合わせ、投資初心者のハードルを大きく引き下げることができる。若年層の投資参加を協力に推進していく」と説明した。
証券会社は従来、中高年の資産運用をビジネスモデルの中心に据えていた。しかし楽天証券では、これから資産を形成していく若い世代も積極的に取り込んでいく考え。楠氏は「短期的には収益の向上は期待できないかも知れない。しかし10年、20年の長い目で見ながら、お客さまの拡大を図っていく」と説明する。5月13日には、都内で「資産形成フェスティバル」を開催予定。抽選で2500名を招待する同セミナーには、定員をはるかに超過する申込みがあったという。
このほか、投信選びをサポートするロボ・アドバイザー「ロボのぶくん」を提供開始する。これはスマートフォンで簡単な質問に答えるだけで、ロボ・アドバイザーが2,400本の投資信託から利用者にあった5本を提案するというもの。リリースは5月27日を予定している。
若い世代も第一歩を踏み出せる
説明会の最後に質疑応答の時間がもうけられ、引き続き楠氏が対応した。楽天スーパーポイントで投信購入が可能になる新サービスについて聞かれた楠氏は「ポイントはこれまで、オマケという要素が強かった。それが個人の資産になる。貯まったポイントで気軽に投資できるので、損をしたらどうしよう、という不安を軽減できる。若い世代も第一歩を踏み出しやすい。金融庁に確認をとっており、問題ないとの回答だった。これを足がかりに、今後ほかの商品についても展開していきたいと考えている」と説明した。