GW明けは「五月病」に要注意!

今年のGW、"9連休"を存分に満喫した人も多いのではないだろうか。いつも週末明けの月曜日は会社に行くのがつらいという人なら、大型連休明けはもっとつらかったはず……。もし1週間以上過ぎてもウツウツした気分が続いているようであれば、「五月病」にかかっている可能性だってあるかもしれない。

今回は、「五月病」の症状と対策について、精神科の高木希奈医師にお聞きした。

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五月病とは何か?

新年度が始まり、1カ月以上経ちました。進学、進級、引っ越し、転職、昇進、部署異動など、いろいろと環境が変わった方も多いのではないでしょうか。新しい慣れない環境でがむしゃらにやってきたけれど、今回のGWで緊張の糸がプツっと……。そんなあなたは「五月病」に注意です!

よく耳にする「五月病」ですが、これは正式な医学的病名ではありません。精神医学的な病名では、「適応障害」や「うつ状態」などに当てはまります。

新しい職場や人間関係、引っ越しなどによる生活環境の変化があると、最初はそれに適応しようとして、緊張感や期待感をもって頑張って取り組もうとします。それはよいのですが、逆に焦って頑張りすぎてしまったり、理想と現実のギャップに愕然としたり、将来への不安感が出てきたり……。また、入社や昇進といった大きな目標を達成した後、新たな目標を見失い、無気力になってしまう場合もあります。そうすると、GW明けあたりからどっと疲れや体調不良が出てくる方がいます。俗に言う「燃え尽き症候群」とも似ているかもしれませんね。

症状・なりやすい人の傾向

具体的には、次のような症状が出てきたら要注意です。

□気分の落ち込み

□やる気が出ない

□不安感、焦燥感

□集中力が落ちてケアレスミスが増える

□今まで楽しめていたことが楽しめない、興味がわかない

□眠れない

□食欲が落ちた

□疲労感、けん怠感

□肩こりや頭痛などの体の不調や痛み

環境の変化というのは、誰でもストレスになりえます。結婚や昇進など、それがたとえ良いことであったとしても、ストレスになるのです。五月病になりやすい人は、「人一倍頑張らなきゃ」「早く仕事を覚えなきゃ」などと真面目で責任感が強い方が多く、それで無理をしてしまいます。一方で、普段からストレスをためないように、うまく気分転換やストレス発散ができるような方は、五月病にはなりにくいと思われますので、そのような心掛けは大事です。

予防策・対処法

とにかく頑張りすぎない、ということに尽きます。症状が軽いうちは休養だけでもまだ改善の余地はあるのですが、重症になってしまったり症状が長引いたりすると、うつ病に移行してしまう可能性もあります。

そうならないために、まずはゆっくり休養をとることが大切です。週末は、心と身体をゆっくり休めるためにあるものと思ってください。たまには気分転換やストレス発散として、どこか旅行に行ったり、温泉にでも浸かってのんびりしたりするのもいいでしょう。

そして、あまり焦って頑張りすぎないこと! 自分のペースでよいので、ゆっくり新しい環境に慣れていき、仕事も少しずつ覚えていきましょう。最初から完璧にできる人はいませんし、最初のうちは誰でもできなくて当然です。多少失敗したとしてもクヨクヨ気にせず、学習だと思って次から同じ失敗を繰り返さないようにすればよいのです。まずは低めの目標設定を心がけてください。それが達成できたら、その次もまたハードルを高くしすぎないように、徐々に目標を上げていきましょう。

それから、食事と睡眠をきちんととって、規則正しい生活リズムで生活することも大切です。もしあまりにも症状がひどければ、一人で悩まずに、すぐに精神科を受診してくださいね。

※写真と本文は関係ありません


取材協力: 高木希奈(タカギ・キナ)

精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医、日本精神神経学会認定指導医、日本医師会認定産業医。
長野県出身。聖マリアンナ医科大学卒業。現在は、精神科単科の病院で精神科救急を中心に急性期治療にあたっている。また、産業医として企業にも勤務経験あり。
著書に『間取りの恋愛心理学』(三五館)、『あなたの周りの身近な狂気』(セブン&アイ出版)、『精神科女医が本気で考えた 心と体を満足させるセックス』(徳間書店)、電子書籍『女医が教える飽きないエッチ』(App Store、Kindle)など。趣味は、海外旅行とスキューバダイビング。オフィシャルブログはこちら。