子育て世代が使う一眼レフカメラとして高い人気を誇るキヤノン「EOS Kiss」シリーズ。その最新モデルである「EOS Kiss X9i」が発売された。注目は、AF (オートフォーカス) やセンサーなどの主要性能が進化し、中級機に匹敵する実力を備えたこと。その画質と使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

キヤノン「EOS Kiss X9i・EF-S18-135 IS USMレンズキット」。発売は4月。同社オンラインショップでの価格は税込156,600円。このほか、ボディーのみ、ダブルズームキットも販売されている

ファミリー向けの定番一眼レフ

キヤノン「EOS Kiss」シリーズは、ファミリー向け一眼レフとして定番的な存在だ。2003年の初代モデル以降、1~2年ごとに新モデルが投入され、入門者向け一眼レフの市場を牽引してきたシリーズといってもいい。個人的には、これまでにシリーズ全製品を試用し、うち何台かは実際に購入・愛用した。少なからず思い入れがあるカメラだ。

そんな筆者のもとに編集部から送られてきたのは、最新作の「EOS Kiss X9i」。さっそく箱を開けると、そこにはいつもながらのEOS Kissがあった。曲面を多用した流れるようなシルエットラインと、軽々と取り回せる小ぶりなボディ。筆者の大きな手には小指がやや余るが、グリップの膨らみはしっくりと手になじみ、ラバー素材の感触もいい。外装は決して高品位とはいえないが、かといって安っぽさはない樹脂素材。いずれも最近のKissではお馴染みのものだ。外観に関しては2015年発売の前作「EOS Kiss X8i」から目立った改良はないといえる。

では、何が変わったのか。その疑問は、ファインダーをのぞいてシャッターを切るとすぐにわかった。AFが進化したのだ。

シャッター優先AE F3.5 1/500秒 ISO320 WB:晴天 レンズ:EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM

AFには、画面の広範囲をカバーする45点のセンサーを搭載。その全点がクロス測距で、中央1点はデュアルクロス測距に対応する。ハイアマチュア向けのミドルクラス機「EOS 80D」と肩を並べる測距点数だ。1点AFとゾーンAF、ラージゾーンAF、自動選択AFの4タイプから選べる測距エリア選択モードや、最低EV-3となる測距輝度範囲についてもEOS 80Dと同等である。

外形寸法は前作からわずかに縮小し、幅131×高さ99.9×奥行き76.2mm。25gの軽量化を図り、重さは本体のみで約485gとなった

モニターには、ワイド3.0型/約104万ドットのTFT液晶を搭載。静電容量方式のタッチパネルが付いており、バリアングル動作にも対応する

電源はリチウムイオン充電池「LP-E17」。撮影可能枚数はファインダー撮影時で約600枚だ

側面に記録メディアスロットを装備。SD/SDHC/SDXCメモリーカードが使用できる

測距エリア選択モードの設定画面。ラージゾーンAFが加わり、全4モードから選べる