東京急行電鉄は12日、2017年度の鉄軌道事業設備投資計画について発表した。今年度の設備投資の総額は502億円。田園都市線では6ドア車両から4ドア車両への置換えが2017年5月中に完了し、本格的なホームドア整備に着手する。東横線・田園都市線・大井町線全64駅のホームドア整備は計画より約1年前倒しされ、2019年度の完了をめざす。

6ドア・座席格納車両を連結した東急電鉄5000系(2014年撮影)。新造4ドア車両への置換えが今月中に完了する

田園都市線では2005年以降、朝ラッシュ時の遅延防止・混雑軽減のため、5000系に6ドア・座席格納車両が導入(一部編成を除く)された。その後、ホームからの転落事故や列車との接続事故の防止を目的に、抜本的な対策となるホームドア設置計画を加速させるため、東横線・田園都市線・大井町線全64駅にホームドアを設置することを決定。課題となっていた田園都市線の6ドア車両(計45両)は4ドア車両へ置き換えられることになり、昨年1月から新造4ドア車両を組み入れた編成が順次導入されていた。

6ドア車両から4ドア車両への置換えは今月中に完了し、これを受けて田園都市線も本格的なホームドア整備に着手。2017年度は三軒茶屋駅・二子玉川駅をはじめ7駅で運用開始し、池尻大橋駅などで工事に着手する。他にも東横線祐天寺駅・綱島駅、大井町線荏原町駅など、今年度は3路線(東横線・田園都市線・大井町線)合計13駅でホームドアの運用を開始する予定。東横線・田園都市線・大井町線全64駅へのホームドア整備計画は2020年完了を予定していたが、約1年前倒しされ、2019年度完了をめざすこととなった。

田園都市線では新型車両2020系の導入(10両編成×3編成)も予定されており、ハイバック仕様の座席、「ナノイー」方式の空気清浄機、フリースペースの設置などにより、快適で便利な車内空間を実現する。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、東急電鉄が保有する全車両へ車内防犯カメラを設置する予定で、今年度は33編成(計151両)で設置される。大井町線では輸送力増強を目的に、今年度下期に急行車両を6両編成から7両編成に変更。これにともなう車両新造に加え、急行停車駅である大井町駅・旗の台駅・自由が丘駅のホーム延伸工事も進められている。

駅のバリアフリー強化や快適性・利便性向上、情報発信強化といった取組みも進められる。東横線・田園都市線渋谷駅では今夏、新たに14番出口の使用を開始。上下エスカレーターを整備し、地下3階と地上を直線で結ぶことでJR渋谷駅との乗換時間が短縮されるという。渋谷駅では道玄坂改札口付近から地上のスクランブル交差点周辺(6番出口付近)をつなぐエレベーターも新設される。東急線アプリの内容を拡充し、駅構内の様子を配信する「駅視-vision(エキシビジョン)」の対象駅を増やすほか、到着する列車の車両ごとの混雑度を表示する機能を駅サイネージなどに付加し、分散乗車促進を図る。