神奈川県・箱根の岡田美術館では、7月28日~10月29日に特別展『歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」-138年ぶりの夢の再会-』を開催する。喜多川歌麿の三部作「雪月花」のうち、ワズワース・アセーニアム美術館所蔵の「吉原の花」を米国から迎え、同館収蔵の「深川の雪」とともに展示。日本でこの2作品が同時展示されるのは明治12年以来、実に138年ぶりとなる。
三部作「雪月花」は、江戸時代に活躍した浮世絵師・喜多川歌麿によって描かれた一連の肉筆画の大作「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」のこと。明治期、美術商の手によってパリへと渡り、現在では「吉原の花」はワズワース・アセーニアム美術館(アメリカ・コネチカット州)、「品川の月」はフリーア美術館(アメリカ・ワシントンD.C.)で所蔵されている。「深川の雪」だけは、戦前に日本へ戻ったものの戦中の混乱で行方不明になっていたが、2012年に発見され、それ以降は岡田美術館で所蔵されている。
今回、米国から来日する「吉原の花」は、平成7(1995)年に千葉市美術館が開催した「喜多川歌麿展」でも展示されたものの、「深川の雪」とともに見られるのは明治12(1879)年に栃木県の定願寺で三部作がそろったという記録以来。今回は、両作品が同時に鑑賞できる非常に貴重な機会となる(「品川の月」も原寸大の高精細複製画で展示)。
また、この2作品のほかにも、同館が所蔵する「三美人図」「芸妓図」という2点の肉筆作品も4階展示室にて特別公開される。現存数が少ない歌麿の肉筆画が一堂に会する貴重な特別展とあって、それぞれの作品を見比べながら変遷を辿ってみるのもの興味深いだろう。
『歌麿大作「深 川の雪」と「吉原の花」-138年ぶりの夢の再会-』の会期は、7月28日~10月29日。開催場所は岡田美術館(神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1)。料金は一般・大学生2,800円、小中高生1,800円(税込)。