3人兄弟の末っ子、ぺットを飼った経験がない、人形やぬいぐるみに興味がない。そんなことも関係あるかもしれないけれど、誰かのお世話をすることにずっと苦手意識をもっていた。
だけどお母さんになったら、当然ながら赤ちゃんのすべてをお世話しなければならない。もちろん夫もいるけれど、最初の1年は育休中の私がメインだ。
待ち望んだ赤ちゃんだし自分の子だもの、大丈夫でしょ!と楽観していたものの、産院や自治体が主催するベビー教室のような場所に行き、いろんな親子と一緒になった時に「やっぱり私、お世話下手かも」とどんどん自信がなくなっていった。
というのも、他の人は赤ちゃんに絶え間なく話しかけたり、ぬいぐるみを使ったりと楽しそうにしてるけど、私ときたら一方通行の会話に言葉が見つからない、おもちゃの扱い方も分からないで、ただジーッと娘を眺めるだけ。そのうえ隣のお母さんから「赤ちゃん、口をチュパチュパしてるからおっぱい欲しいんじゃないですか?」なんてアドバイスされ、泣き出した娘をあわてて抱っこする始末。教室に来ている人は初産の人が多いのに、みんなは赤ちゃんの気持ちが分かってすごいな、どうすれば自然に赤ちゃん目線で遊べるんだろうっていう劣等感ばかり。
自分の時間がない息苦しさや乳腺炎の悩みもあったりして、産後うつってこんな感じなのかな?と思うようになっていた。
そんな私を助けてくれたのは、絵本だった。返事がなくても読み進められるし、美しい絵と言葉に私も癒やされるし、なにより娘の反応がよい。声色を変えたり途中でぬいぐるみを登場させたりすると、さらに喜んでくれる。自然とコミュニケーションがとれるようになったのだ。
とはいってもいまだにぬいぐるみの動きはぎこちなく、ごっこ遊びも夫の方が盛り上げ上手だ。それでも私は娘と遊ぶのが大好きになったし、娘は私を「お母さん」と認めてくれている。そしてどんどんいろんなことが出来るようになっていく彼女を見ていると、「お世話」する期間も限られていることを知り、ちょっぴり切なくもなるのだ。