進学や遠隔地の異動の決定から新生活開始まで時間が無い場合、転居が必要だけれども現地まで行って部屋を探している時間が無いという人も多いのではないでしょうか。でも、図面や写真だけで物件を決めることにも若干の心配があるなぁと言う場合、知っておくべきデメリットとは一体どのようなものでしょうか。住まいの情報にくわしい高田七穂先生に聞きました。
Q引っ越しまで時間がない。遠方だし、図面で気に入ったからここに決めたいんだけどいいかな
A.なるべく避けたほうがいい
実際の住まいを見ないで契約するのは、よほどのことがない限り、避けたいものです。メリットとデメリットを考慮した上で決めましょう。
内見をせずに決めた場合、間取りや設備が見たものと違っていた、部屋が印象よりも狭かった、などの苦情が出ることがあります。どうしても時間がなく、内覧をせずに決める場合は、予想外のデメリットがあることを覚悟しておくほうがよさそうです。
4月から新天地で生活する人は、早く住まいを決めて生活を軌道に乗せたいですよね。ここで、遠方に転居する方にとっては、現地に行く時間がなく、インターネットの図面だけで決めてしまいたい気持ちがあると思います。最近では、動画で周辺環境や室内も見られるサービスがあり、とても便利になりました。実際に見た気になって「これに決めよう!」と思ってしまうのもよくわかります。
けれども、やはりネットで見るのと、実際に行って現物を見るのとでは大きな違いがあります。たとえば、音やニオイという情報は画面からは伝わってきません。周辺の道路の交通量が多いかもしれませんし、建物内の音がよく響くかもしれません。建物内に湿気が多く、なんとなくカビくさいかもしれません。また、夜になると環境ががらりと変わることがありますが、これも行ってみないとわかりません。
時間がない状態で遠方に行って、その日のうちに部屋を決めなければならない場合は、事前に情報を整理しておきます。まずは、大まかに住みたいエリアと不動産会社を決めること。そして、不動産会社に「1日ですべてを内覧したい」「重視したい条件はこれ」と伝えておきます。
ただ、物件の動きが早い時期は、「内覧したい」と決めた住まいがなくなる可能性もあるので、それも割り切る必要があります。それでも、内覧をしないで決めて、あとから「シマッタ」と思うよりは、納得できるのではないでしょうか。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中
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